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青りんごの本棚

~10代の読書案内~

山田悠介 『キリン』

天才の遺伝子が手に入るとしたら、あなたは欲しいですか。 う~ん。 天才は孤独だというから、私は天才の遺伝子はいりません。 でもね、もしあなたの子どもに天才の遺伝子を与えることができると言われたらどうだろう? 天才の子供を産んで社会を見返してや…

辻村深月『鍵のない夢を見る』

止めようも抗いようもなく、気づくと狂気は隣にいた。 自分がいた場所が少しずつおかしくなっていたのだろうか。 それとも、おかしいと気づかずにそこへ自分から入り込んだのだろうか。 いずれにしろ、自分が気が付かないうちにそういうことになっていたらし…

湊かなえ『高校入試』

県立橘第一高等学校。通称・一高。 一高に受かれば人生の目標を達成したという人も少なくない、県下有数の進学校である。 合格発表の翌日には、ゴミ捨て場に机が山積みされるという。もう勉強しなくてもいい、というわけ。 その一高の入試前日「入試をぶっつ…

辻村深月 『朝が来る』

人生には求めるだけで手に入らないものがたくさんある。 だからこそ人はそれを強く求めるのだし、求めるほどにその価値は大きくある。 時に押しつぶされるほどに。 ある朝、栗原家に入った一本の電話。 佐倉ひかり、と名乗ったその女性は、受話器の向こう側…

金城一紀『レヴォリューションNO.3』

有名進学校が並ぶ新宿区の中にあって、陸の孤島のように存在している典型的オチコボレ男子高。そこに通うぼくたちは、まわりからこう呼ばれている。 ≪ゾンビ≫と。 ここで語られるのは、そんなぼくたちゾンビーズの冒険譚。 おとなりのお嬢様女子高の学園祭に…

重松清 『十字架』

十字架の重みは、それを背負ったことのある者にしかわからない。 胸に刺さった傷は、すごく痛くて、なかなか立ち直れなかったり、致命傷になることだってあるけれど、生きていればいつか癒すこともできる。 誰かを失ってしまった十字架は、一度背負ってしま…

まはら三桃 『白をつなぐ』

新春の駅伝といえば、「箱根駅伝」だけではない 。 毎月一月の中旬に行われる、全国男子駅伝大会。 中学生から社会人までがたすきをつなぐ、都道府県対抗駅伝。女子は京都で、男子は一週間後に広島で開催される。この本を読んだ2016年の大会は、雪が降る中の…

柚木麻子『本屋さんのダイアナ』

本好き女子は、たいがい孤独である。 ファッション誌やアイドルの話題が華とされる女子の中で、読書などという地味な趣味を全面に出すのは「私を放っておいてください」と言っているようなものだ。 華やかな女子グループでうまくやりたければ、読書の趣味は…

ABC! 曙第二中学校放送部

Akebono Broadcasting Club(アケボノ ブロードキャスティング クラブ)略してABC。 曙第二中学校放送部は、2年生のみさとと古場和人の部員がふたりだけ。黒縁眼鏡で、ひょろりと頼りなさげな古場は、部長を引き受けてくれたものの機材おたくで人前で話すの…

イクバルと仲間たち―児童労働にたちむかった人々

子どもが使うべきなのはペンで、仕事の道具ではありません イクバルはパキスタンの少年でした。本当の年齢は、彼自身も知りません。中学生くらいかもしれない。でも、同じ年頃の子どもに比べると、とてもやせていて小さい男の子。家族の借金を返済するために…

東田直樹『自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない中学生がつづる内なる心』

自閉症の著者が自ら記す、自閉症のなぞ 自閉症は、他人とうまくコミュニケーションを取ることができない障害。症状はそれぞれですが、自分の気持ちを言葉で話したり、指示された行動を取ったりすることが難しいという特徴があります。自閉症の治療の難しいと…

奇跡のプレイボールー元兵士たちの日米野球

この本に登場するおじいさんたちは、太平洋戦争当時、中学生・高校生くらい。 同じ戦争を体験したかつての日米の青年たちが、平和になったいま、今度は野球の試合をしようと集まった。 平和であるいまだからこそ、語ることのできる真実があるのだろうと思う…

死なないで!ー 一九四五年真岡郵便局「九人の乙女」

1945年8月15日、日本はポツダム宣言の受諾を宣言し、戦争の終結を告げました。戦争を知らない世代の私たちも、この日を「終戦記念日」として、知らない人はいないでしょう。もし知らなかったらいまここで覚えて帰ろうね。 戦争が終わってここからは平和にな…

重松清『エイジ』

ぼくの名はエイジ。東京郊外・桜ヶ丘ニュータウンにある中学の二年生。その夏、町には連続通り魔事件が発生して、犯行は次第にエスカレートし、ついに捕まった犯人は、同級生だった―。その日から、何かがわからなくなった。ぼくもいつか「キレて」しまうんだ…

乙武洋匡『だいじょうぶ3組』

ぼくらの先生は車いす⁉ 新学期、ぼくらのクラスの新しい先生は、電動車いすに乗って手と足がない先生だった!! 『五体不満足』の著者・乙武さんが、公立小学校での三年間の教員経験をもとに描いたフィクションです。小説に出てくる赤尾先生のモデルは、乙武さ…

堀米薫『チョコレートと青い空』

周二は小学5年生。おとうさんとおかあさん、妹のゆりと周二、そして反抗期でいつも機嫌の悪い兄・一樹の5人家族。専業農家の周二の家に、アフリカのガーナからエリックが日本の農業を勉強するためにやってきた。 明るくてよく働く、ガーナの国と家族が大好…

福田隆浩『ブルーとオレンジ』

教室の中には、目には見えないカースト制度がある。 カースト制度っていうのは、力関係のこと。 スポーツが得意、頭がいい、おもしろいとかクラスで人気のある人がそのカーストのトップにいる。なぜか怖い人とか意地悪な人が、このトップにいることも多いん…

まはら三桃『なみだの穴』

泣きたい気持ちになった時。 それはなみだの穴があらわれた時だよ。 引越しで友達と別れることになった光太、甘いものを我慢してレスリングに励む真矢。一生懸命だからちょっぴり泣きたい時もある。なみだの穴が現れたら、我慢していた涙があふれだして…。 …

岩瀬成子『きみは知らないほうがいい』

ミステリアスなタイトルと、長谷川さんの描く女の子が妙に引っかかって、気になっていた本。 おばあちゃんの家に行くために乗ったバスの中で、米利(めり)は偶然クラスメイトの昼間くんと出会う。昼間くんは6年生になってから転校してきた男の子。「どこに…

重松清『星のかけら』

ディズニー映画の中で、ダンボが好きだ。 あの水色のぞう。 耳が大きくて、ぞうなのに空が飛べないっていう…。というか、そもそも象は空など飛べないじゃないか。飛ばなくていいはずなのだけど。 キャラクターがかわいくてグッズを集め始め、じっくりと映画…

西川つかさ『ひまわりのかっちゃん』

舞台は、昭和30年代の北海道。県は違えど、道南は私の地元と方言がとても似ています。周りにも道南の親戚がいる人も多かったから、移住者も多いのかな?そんなこともあり、かっちゃんたちの方言がすんなりと入り込んできて、私には楽しくリズミカルに読めま…

草野たき『ハッピーノート』

聡子は、中学受験のために塾へ通う小学6年生の女の子。でも、塾に通う本当の理由はちょっと違う。学校では、強い女の子に合わせているようなつまんない毎日。もっと楽しい・新しい世界を見つけたくて塾へ通うことに決めたけれど…。 学校という小さい世界か…

湯本香樹実『ポプラの秋』

ポプラ荘のおばあさんが亡くなった。というところから、物語は始まる。 千秋が小学1年生になってすぐ、お父さんんが交通事故で死んだ。その年の夏に、千秋は母とふたりでポプラ荘に引っ越してきた。 ポプラ荘の大家さんはおばあさんで、このおばあさんの顔、…

三船恭太郎『12歳の空』

「ヘチマと僕と、そしてハヤ」で「第二回12歳の文学賞」大賞受賞した、三船恭太郎くん(どうしても君付けしたくなるのは、彼に坊主頭が似合いすぎるせいだろう)。12歳の文学のハードルも知名度も彼が一気に押し上げたといっても過言ではないでしょう。 そ…

濱野京子『木工少女』

英語教師の父親の転勤で、小学校生活最後の一年間を山奥の小さな村で過ごすことになった主人公、美楽(みらく)。 東京練馬育ちの美楽には、コンビニもじゃがりこもないド田舎の生活も、たった一年だけのクラスメートもなじめない。(というか、なじむつもり…

岡田依世子『ぼくらが大人になる日まで』

中学受験を目前に控えた小6たちの物語 自分のために、あるいは親のために。何かをめざして、あるいは何かから逃れようとして。それぞれの理由を抱え受験するために進学塾に通う六人の物語。 目指す受験の先に何があるのか。―ぼくたちは大人を信じていいのか…

伊藤たかみ『ミカ!』

子供でいたい。大人になんてなりたくないこっそり流す涙のむこうには幸せな明日がある。双子のミカとユウスケの瑞々しい小学校ライフ。 おっぱいもいらない、スカートキライッ、女の子になんてなりたくない!!オトコオンナと呼ばれるミカと、そんなミカをあッ…

杉浦日向子『百日紅』

江戸風俗研究家・杉浦日向子さんが描く北斎の江戸の町 実は、彼女が漫画を描いていたとは知らなかったのです。 日本が誇る浮世絵画家・葛飾北斎と、北斎の画才を受け継いだ次女のお栄、そして江戸の人たちの暮らしぶりがうかがえます。さばけていても純なお…

山口淑子『李香蘭 私の半生』

2014年、山口淑子さん死去のニュース。 少しだけ紹介された彼女のプロフィールに、俄然興味がわいた。 間もなくアマゾンでは、この本が一時在庫切れとなった。同じように、彼女の半生に興味をひかれた人が殺到(それは言い過ぎか、せめて集中)したのかも。 …

サラの旅路―ヴィクトリア時代を生きたアフリカの王女

著者が古書店で見つけた一束の手紙。それは、19世紀半ばに、イギリス・ビクトリア女王の保護を受けていたある少女にまつわるものだった。その少女は、アフリカのある部族の女王であり、同じアフリカの国王に殺される寸前に助けられたのだという。それが、表…

「時代をきりひらくIT企業と創設者たち」シリーズ

TwitterもAmazonもWikipediaも。 スマホの普及とともにその利用率はどんどん伸びている。 似たようなサイトやアプリも次々に登場しているが、Amazonはトップに君臨し続けるし、Twitterのユーザー数は2015年には3,500万人を超えたと公式発表された。 インター…

『スティーブ・ジョブズの生き方』

インタビュー嫌いで有名なジョブズ自身が語った自伝書であり、スティーブ・ジョブズの死後まもなく発売された話題作となったベストセラー『スティーブ・ジョブズ I・IIセット』。 何十人という図書館の予約をなぎ倒し、やっとのことで私の元に巡り着いた割に…

レンズが撮らえた幕末の日本

さて、少し歴史のお勉強を。 1830年代、わが国では天保期にあたる時代、フランスで銀板写真が開発され、それからわずか9年後(1848年)オランダより長崎に輸入された。輸入したのは、上野俊之丞。長崎で坂本竜馬の写真を撮影したと言われる上野彦馬の父であ…

日本人なら知っておきたい日本文学

日本語学校に通う面白い外国人たちを描いた「日本人の知らない日本語」が昨年大ブレイク。この本、人前で読むことをおすすめできないくらい、声を出して笑っちゃうおもしろエッセイ漫画で、私もお気に入り。漫画担当の蛇蔵さんネタ元である日本語教師の海野…

冲方丁『はなとゆめ』

清少納言、28歳。「私はあの方を守る番人になる」帝・一条帝の后・中宮定子様に女房として仕え、『枕草子』を書き上げるまでが描かれた、清少納言ファン必読書。 内裏へあがるまでのゆったりさに少々眠くなりそうだったが(-_-)、中宮定子様の登場から物語…

百田尚樹『海賊とよばれた男』

舞台は戦前から戦後。日本の石油産業を支え、礎を築いた出光石油の社長をモデルに描かれた小説である。日本を愛し、社員をなによりも大切にし、石油に夢を託した、決して饒舌ではいが骨太な日本男児の鐵造に心打たれます。 「店員は家族と同然である。社歴の…

マーギー・プロイス『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂』

14歳で漁船が遭難し、アメリカに渡った万次郎。現地では、アメリカに足を踏み入れた最初の日本人として「アメリカを発見した少年」と呼ばれたそうです。 海の向こうには鬼が住んでいて、捕まったら喰われるとか思われていた時代。日本とはスケールも考え方も…

三谷幸喜『清須会議』

三谷幸喜ってだけで、おもしろそうと軽く飛びついてみたら、歴史モノなのね。巷では、歴女ブームもまだまだ健在のようですが、歴史は得意ではない分野。でもまぁ、そこは三谷幸喜だからと読んでみる。 信長亡き後の織田家の当主となるのはいったいだれなのか…

吉橋通夫『風の海峡』

青い海峡をはさんだふたつの国。日本と朝鮮―。背のびをすれば島影が見えるほど近い。話す言葉は違うが、顔立ちはそっくり。どちらの国も、声mを主食にし、漢字を使い、移り変わる四季をいつくしみながら暮らしてきた。梅の香りに春を感じ、モモの甘さに夏を…

冲方丁『天地明察』

渋川春海(安井算哲)が、日本独自の暦を作るというストーリー。舞台は江戸時代ですが、なんと、歴史小説に欠かせない剣で戦うシーンがない!!これだけ聞くと、何が面白いのか?と思われるでしょうが、それが、読んでみると面白い。剣をふりかざして戦う人た…

境界を生きる 性と生のはざまで

性分化省疾患、性同一性障害、「体と心の性」の悩みを抱えている人は、実は多い。 体と心の性の悩みと言っても、70以上に及ぶ疾患がある。 生まれたときから体の性があいまいなことがある。体の性別と心の性別が一緒でないこともある。 「まずは私たちのよう…

ほんとうの「ドラッグ」

著者は、元・薬物中毒者。ということで、すごく説得力がある。 著者プロフィールによると… 30歳のときに覚せい剤を覚えて以来、薬物乱用者となり、37歳で精神病院に入院。それでも覚せい剤をやめられず39歳のとき逮捕。釈放後、アルコール依存症者の回復施設…

渡辺俊美『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』

「あぁ、楽しかった夏休みも終わってしまったぁ~」と嘆いているのはなにも子どもたちだけではない。またお弁当作りの日々が始まるのかと、幽鬱になりそうな母たちもいる。 春から息子の弁当が加わり、毎日4個のお弁当作りからしばしの解放感を味わいつつあ…

自炊男子 「人生で大切なこと」が見つかる物語

草食系男子・メガネ男子・スピリチュアル系男子…、男子を分類するのはもうやめませんか?と呆れ顔のあなた、そんな本ではありませんのでご安心を。逆に、萌え系弁当男子的小説を期待していたあなた、これまたごめんなさい、ちょっと違います。 イケベタカシ…

梨木香歩 『西の魔女が死んだ』

「西の魔女が死んだ。」 中学生になってまもなく、学校へ行けないまい。まいは祖母のもとで一緒に「魔女修行」をしながら暮らすことになった。 豊かな自然に囲まれ、あるがままを受け入れてくらすこと。そして、祖母のいう「魔女修行」とは、何でも自分で決…

中沢けい『楽隊ウサギ』

「君、吹奏楽部に入らないか?」「エ、スイソウガク!?」 学校にいる時間をなるべく短くしたい、引っ込み思案の中学生・克久は、入学後、ブラスバンドに入部する。先輩や友人、教師に囲まれ、全国大会を目指す毎日。少年期の多感な時期に、戸惑いながらも音楽…

重松清『きよしこ』

吃音って知ってますか?言葉がつっかえて、うまくしゃべれないことです。重松さん自身、少年期に吃音症(どもりが)があり、カ行の発音がうまくなかったそうだ。そのため、話すときにはカ行から始まる言葉をできるだけ避けたり、清という自分の名前について…

魚住直子『非・バランス』

学校での私のルール。一つ、クールに生きていく。一つ、友だちはつくらない。そんな私がある日、学校中でうわさの、願いごとをかなえてくれるという”ミドリノオバサン”に会った。彼女が言った言葉は「タスケテ」 集団の中でうまくバランスをとっていくって、…

瀬尾まいこ『僕の明日を照らして』

ママの再婚相手の優ちゃんは歯科医師でカッコよくて、優しい。そして、時々キレて、僕に暴力をふるう。ママと僕と優ちゃんと、僕はこの幸せを失いたくないから、誰かに話すつもりなんてない。中学2年生の隼太の、戦いと成長の日々をつづる。 子供たちは、本…

三輪裕子『優しい音』

クラスで仲の良かった香澄たちから無視されるようになった千波。ある日、千波の携帯に「しおかぜ」と名乗る人からのメールが届くようになる。「しおかぜ」は、千波の近くにいる人物のようだが…。はじめはひとりでうじうじと悩んでいた千波が、しおかぜのメー…