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青りんごの本棚

~10代の読書案内~

辻村深月『鍵のない夢を見る』

止めようも抗いようもなく、気づくと狂気は隣にいた。 自分がいた場所が少しずつおかしくなっていたのだろうか。 それとも、おかしいと気づかずにそこへ自分から入り込んだのだろうか。 いずれにしろ、自分が気が付かないうちにそういうことになっていたらし…

湊かなえ『高校入試』

県立橘第一高等学校。通称・一高。 一高に受かれば人生の目標を達成したという人も少なくない、県下有数の進学校である。 合格発表の翌日には、ゴミ捨て場に机が山積みされるという。もう勉強しなくてもいい、というわけ。 その一高の入試前日「入試をぶっつ…

辻村深月 『朝が来る』

人生には求めるだけで手に入らないものがたくさんある。 だからこそ人はそれを強く求めるのだし、求めるほどにその価値は大きくある。 時に押しつぶされるほどに。 ある朝、栗原家に入った一本の電話。 佐倉ひかり、と名乗ったその女性は、受話器の向こう側…

金城一紀『レヴォリューションNO.3』

有名進学校が並ぶ新宿区の中にあって、陸の孤島のように存在している典型的オチコボレ男子高。そこに通うぼくたちは、まわりからこう呼ばれている。 ≪ゾンビ≫と。 ここで語られるのは、そんなぼくたちゾンビーズの冒険譚。 おとなりのお嬢様女子高の学園祭に…

重松清 『十字架』

十字架の重みは、それを背負ったことのある者にしかわからない。 胸に刺さった傷は、すごく痛くて、なかなか立ち直れなかったり、致命傷になることだってあるけれど、生きていればいつか癒すこともできる。 誰かを失ってしまった十字架は、一度背負ってしま…

柚木麻子『本屋さんのダイアナ』

本好き女子は、たいがい孤独である。 ファッション誌やアイドルの話題が華とされる女子の中で、読書などという地味な趣味を全面に出すのは「私を放っておいてください」と言っているようなものだ。 華やかな女子グループでうまくやりたければ、読書の趣味は…

西川つかさ『ひまわりのかっちゃん』

舞台は、昭和30年代の北海道。県は違えど、道南は私の地元と方言がとても似ています。周りにも道南の親戚がいる人も多かったから、移住者も多いのかな?そんなこともあり、かっちゃんたちの方言がすんなりと入り込んできて、私には楽しくリズミカルに読めま…

冲方丁『はなとゆめ』

清少納言、28歳。「私はあの方を守る番人になる」帝・一条帝の后・中宮定子様に女房として仕え、『枕草子』を書き上げるまでが描かれた、清少納言ファン必読書。 内裏へあがるまでのゆったりさに少々眠くなりそうだったが(-_-)、中宮定子様の登場から物語…

百田尚樹『海賊とよばれた男』

舞台は戦前から戦後。日本の石油産業を支え、礎を築いた出光石油の社長をモデルに描かれた小説である。日本を愛し、社員をなによりも大切にし、石油に夢を託した、決して饒舌ではいが骨太な日本男児の鐵造に心打たれます。 「店員は家族と同然である。社歴の…

三谷幸喜『清須会議』

三谷幸喜ってだけで、おもしろそうと軽く飛びついてみたら、歴史モノなのね。巷では、歴女ブームもまだまだ健在のようですが、歴史は得意ではない分野。でもまぁ、そこは三谷幸喜だからと読んでみる。 信長亡き後の織田家の当主となるのはいったいだれなのか…

冲方丁『天地明察』

渋川春海(安井算哲)が、日本独自の暦を作るというストーリー。舞台は江戸時代ですが、なんと、歴史小説に欠かせない剣で戦うシーンがない!!これだけ聞くと、何が面白いのか?と思われるでしょうが、それが、読んでみると面白い。剣をふりかざして戦う人た…

自炊男子 「人生で大切なこと」が見つかる物語

草食系男子・メガネ男子・スピリチュアル系男子…、男子を分類するのはもうやめませんか?と呆れ顔のあなた、そんな本ではありませんのでご安心を。逆に、萌え系弁当男子的小説を期待していたあなた、これまたごめんなさい、ちょっと違います。 イケベタカシ…

千原ジュニア『14歳』

著者は、吉本興業所属、実兄・千原靖史とのお笑いコンビ”千原兄弟”の千原ジュニア。ちょっと毒舌でひねりのきいたしゃべりが小気味よく、頭の回転の速さもうかがえる著者のリアルな14歳をつづった自伝的小説。 小説というより、心の叫びが直球で飛んでくる…

重松清『赤ヘル1975』

赤ヘルとは、どんぴしゃり「カープ軍団」のこと。この時代をリアルに体験してきたカープファンの方には、迷わず購入されることをおすすめします。 日本で唯一の市民球団である広島カープが、最下位を脱して優勝するまでの劇的な数か月とリンクして、三人の少…

重松清 『ゼツメツ少年』

「だって、同じだろ、俺たち、クジラの祖先と。このままだと、俺たち絶滅しちゃうと思わないか?」 <センセイにお願いがあるのです。僕たちのことを小説にしてくれませんか?>小説家のセンセイの元に届いた手紙。 どこにも居場所がない、タケシ・リュウ・…

百田尚樹『輝く夜』

奇蹟ってやっぱりあるのねって信じたくなるような。だれかにやさしい気持ちを分けてあげたくなるような。(そんな分け与える余裕があるとも思えないけれど、それでも分けてあげたいと思えるような) さみしいクリスマスの夜に、ちょっと不思議で「ほんとうに…

重松清『かあちゃん』

交通事故を起こした加害者、被害者、遺族、遺されるものの想い、いじめる人、いじめられる人、たくさんの想いが交錯し、背負うもの、受け止めるものの心を描く。 正反対の立場なのに、どこか共通する痛みがあり、どの人の気持ちも痛いほど伝わる。 だからと…

角田光代 『八日目の蝉』

セミの幼虫は地中で7年暮らし、地上に出て7日しか生きられない。 一般的にはそう言われるが、実際の寿命はもう少し長い。セミの成虫は室内での飼育が難しく、室内の観察環境では一週間くらいで死んでしまう。自然環境では2~3週間、長いと1カ月ほど生き…

重松清 『ポニーテール』

ポップでオシャレな表紙にひと目で心奪われる。 オレンジ×グリーンは好きな組み合わせ。装画は、イナキヨシコさん。北欧テイストがツボのイラストレーターさんです。 表紙のふたりはこの物語の主人公、マキとフミ。 クールなお姉ちゃんと、おしゃまな妹のイ…

伊吹有喜 『四十九日のレシピ』

再婚相手として長年連れ添った妻が突然亡くなって二週間。家事なんてしたこともない良平は何をする気も起こらず、まともな食事もしないで牛乳を飲み、情けない気持ちで暮らしていた。 そんな良平の前に突然、井本と名乗るへんてこな女が現れる。 日焼けした…

有川浩 『明日の子供たち』

児童養護施設という設定でのこのストーリーは「少し爽やかすぎやしないかしら」と感じたが、最後まで読んでみて、しっかりとした取材をもとに書かれたものであるだろうし、そこで生活する子どもたちや職員の本音に近いものが語られているのだろうという印象…

森絵都 『みかづき』

戦後、日本の学力を支えてきた大きな柱の一つである「塾」を舞台に、戦後から現代までの教育の問題や流れを描く。 というと、どこかお堅く聞こえるが、そこは森絵都さん。 「公」である学校教育と「私」である塾との闘い(というかお互いのライバル視)のも…

ルイス・サッカー『穴 HOLES』

ばかばかしいような現実はどこにだってあって、そこから抜け出す力もそこにある。人生を逆転させるスタンリーの大冒険は、期待以上にユーモラスで、おもしろかった。 穴 HOLES (講談社文庫) 作者: ルイス・サッカー,幸田敦子 出版社/メーカー: 講談社 発売日…

ジャミラ・ガウィン『その歌声は天にあふれる』

酒井駒子さんの天使の装丁に惹かれて手に取りましたが、すっごくよかった。 その歌声は天にあふれる 作者: ジャミラガヴィン,Jamila Gavin,野の水生 出版社/メーカー: 徳間書店 発売日: 2005/12 メディア: 単行本 クリック: 3回 この商品を含むブログ (5件) …

ダン・ブラウン『インフェルノ』

ダン・ブラウンのラングドンシリーズ最新作。 人気本の図書館予約は、「待ち」を覚悟しなければならないものだが、今回はものすごく運がいい。新年早々にダン・ブラウンの新刊が読めるなんて、たぶん予約2人目か3人目。今年の運をここで早くも使い果たして…

J・K・ローリング 『カジュアル・ベイカンシー』

『ハリーポッター』を1冊も読み切っていないわたくしが、あの『ハリーポッター』の著者の新作!!などという肩書に踊らされずに、まず読んでみた。(とりあえず読んでみようという動機は、そもそもそこにある、というのは置いといて) カジュアル・ベイカンシ…

裸者と裸者 孤児部隊の世界永久戦争

表紙のこのイラスト×角川文庫、ノベライズ系かななんて思わせて、そうではない。これは本格戦争小説だ。 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争<〈応化クロニクル〉> (角川文庫) 作者: 打海文三 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2012/10/01…

村山早紀 『コンビニたそがれ堂』

(P[む]1-1)コンビニたそがれ堂 (ポプラ文庫ピュアフル) 作者: 村山早紀,早川司寿乃 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2010/01/18 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 12回 この商品を含むブログ (23件) を見る 大事な探しものがある人だけがある人だけが…

西條奈加 『睦月童』

睦月童(むつきわらし) 作者: 西條奈加 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2015/02/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (4件) を見る 人の心を映す不思議な女の子が江戸の事件を謎と 国見屋は、江戸の町日本橋に店を構える下酒問屋…

宮藤勘九郎 『きみは白鳥の死体を踏んだことがあるか(下駄で)』

ドラマ「あまちゃん」や映画「ピンポン」の脚本家で知られる宮藤勘九郎さん。ハイテンポで奇想天外な展開がたまらなくツボです。名前を聞いて、これほど「観たいっ」と思わせる脚本家は他にはいない。(ほかの脚本家のみなさまごめんなさい) そんなクドカン…

さだまさし 『ラストレター』

テーマは、昭和に帰ろう。あの時代、金はなくても、本当の豊かさがあった。 メール、ツイッターからの投稿は受け付けません!! 熱い心はあるけれど、スポンサーもなし・・・この番組、ちゃんと放送できるのか!? ラストレター (朝日文庫) 作者: さだまさし 出…

さだまさし『風に立つライオン』

風に立つライオン (幻冬舎文庫) 作者: さだまさし 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2014/12/25 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る アフリカでの僻地医療、巡回医療に青春を懸ける青年医師が、日本に残してきたかつての恋人に宛てた手紙をテ…

桐野夏生『だから荒野』

桐野さんだけど、ハートフルドラマな小説。 だから荒野 (文春文庫) 作者: 桐野夏生 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2016/11/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る (BOOKデータベースより)もう二度と会うことはないでしょう。 46歳の誕生日。…

柚木麻子『ランチのアッコちゃん』

眠りに就く前に本を読むことにしているのだが、この本、寝る前に読む本じゃない!! スパイスの効いたカレー、フルーツたっぷりのスムージー、ハーブの香りのポトフ…。「おいしそう」なんてものではない。あぁ、だめだ。おなかがすいてきちゃう。 いつもなら、…

有川浩『三匹のおっさんふたたび』

映画も小説も「続編」は難しいとはよく言われるが、これは面白い!と胸を張っておすすめできる有川さんのエンタメ小説「ふたたび」です。 三匹のおっさん ふたたび (新潮文庫) 作者: 有川浩 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/01/28 メディア: 文庫 この…

三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』

ドラマ化の帯に惹かれて購入したのは、言うまでもない。 瑛太と松田龍平くんだよ。そりゃあ買うしかない。 まほろ駅前多田便利軒 スペシャル・プライス [DVD] 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D) 発売日: 2014/10/02 メディア: DVD この商品を含むブログ (5件…

有川浩『三匹のおっさん』

「俺たちのことはジジイと呼ぶな。―おっさんと呼べ」剣道のキヨ、柔道のシゲ、頭脳派のノリの悪ガキならぬ三匹のおっさんたち。チカンにチンピラ、悪徳商法、あぁ世知辛い現代の悪徳に立ち向かう。 あのズッコケも中年になって再結成する時代。団塊世代のお…

辻村深月『ツナグ』

使者(ツナグ)。 一度だけ、死者との再会を叶えてくれるのだという。生者にとっても死者にとっても、たった一度だけ。満月の夜に導かれた4つの再会の物語。 ツナグ (新潮文庫) 作者: 辻村深月 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2012/08/27 メディア: 文庫 …

有川浩『県庁おもてなし課』

高知県県庁の「おもてなし課」をモデルに、地方観光にスポットをあてた恋愛観光おしごとエンタテイメント小説! なんだか盛り沢山だなぁ。 そう、この小説はなんだか盛り沢山なの(*´з`) 県庁おもてなし課 (角川文庫) 作者: 有川浩 出版社/メーカー: 角川書店…

池井戸潤『下町ロケット』

sakuhinn 予約で半年以上待たされた。「首を長くして待たされたんだもの、じっくり味わって読もうっと」 などとかわい子ぶった甘い思惑は宇宙の果てまで飛んでいけ~。 期待以上におもしろくて、2日で一気読み。さすが直木賞受賞作。 下町ロケット (小学館文…

加藤シゲアキ『ピンクとグレー』

生きるって、表現することだと思う。 ピンクとグレー (角川文庫) 作者: 加藤シゲアキ 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店 発売日: 2014/02/25 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (8件) を見る 芸能界を舞台にした二人の青年の物語。なのだろうか…。 私に…

三浦しをん『舟を編む』

本好きが食いつく題材、確かな文章力、程よい読みやすさ、本屋さんたちが選ぶ本屋大賞にこの作品以上にぴったりとくる小説はない。 舟を編む (光文社文庫) 作者: 三浦しをん 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2015/03/12 メディア: 文庫 この商品を含むブロ…

鈴木おさむ『芸人交換日記 ~イエローハーツの物語~』

森三中・大島さんの旦那様であり、ベア系の愛嬌のあるキャラクターや、最近ではいいパパぶりでも人気の鈴木おさむ氏。 「めちゃイケ」や「スマスマ」など人気番組の放送作家です。 その鈴木氏が「どうしても書きたかった」という、売れない芸人たちのリアル…

松本こうじ『ウサギとカメとボク 現代版むかしばなし』

怪しげな夢子さんのイラストに「現代版むかしばなし」というサブタイトル、ひと目で惹かれてしまいました。グロかったらどうしよう~、とドキドキしつつちょっとずつページをめくる…。私の期待をよそに(?)、胸くそ悪くなるようなシーンは全くありません。…

齋藤智裕 『KAGEROU』

俳優・水嶋ヒロが本名・齋藤智裕で応募したこの作品が、第5回ポプラ社小説大賞を受賞し話題となった作品。これを機に、俳優業を辞めたことでも周囲を驚かせました。わたしも好きな俳優さんだったのでビックリしたなぁ。 KAGEROU 作者: 齋藤智裕 出版…

西野亮廣『グッド・コマーシャル』

絵本作家として知られている西野亮廣さんですが、お笑い芸人であり小説も出してるって知ってました?結構おもしろいんです。 グッド・コマーシャル (幻冬舎よしもと文庫) 作者: 西野亮廣 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2013/05/24 メディア: 文庫 この商…

さだまさし 『アントキノイノチ』

秋のある日。 「風邪ですか?冷えてきましたものね。」 と鼻声の私にヤクルトさんが優しく声をかけてくれた。 「えっ、えぇ。ありがとうございます…」 鼻をぐずぐずさせながら私は答えた。 「本を読んでいたのです」とは言えずにね。 アントキノイノチ (幻冬…

桜庭一樹 『私の男』

単行本の表紙を一瞥しただけで、「子どもお断り」のオーラが出ているこの本だが、金原瑞人さんが、「もしできるなら中学生の時に読んでみたかった」として、紹介していたので、その視点から、おすすめしてみたいと思う。ただし、絡みの苦手な方にはおすすめ…

有川浩 『図書館戦争』

静か~なイメージの図書室で戦争。このミスマッチさ、組み合わせがすでにおもしろい。 図書館内乱 図書館戦争シリーズ (2) (角川文庫) 作者: 有川浩,徒花スクモ 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店 発売日: 2011/04/23 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: …