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青りんごの本棚

~10代の読書案内~

イクバルと仲間たち―児童労働にたちむかった人々

子どもが使うべきなのはペンで、仕事の道具ではありません イクバルはパキスタンの少年でした。本当の年齢は、彼自身も知りません。中学生くらいかもしれない。でも、同じ年頃の子どもに比べると、とてもやせていて小さい男の子。家族の借金を返済するために…

東田直樹『自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない中学生がつづる内なる心』

自閉症の著者が自ら記す、自閉症のなぞ 自閉症は、他人とうまくコミュニケーションを取ることができない障害。症状はそれぞれですが、自分の気持ちを言葉で話したり、指示された行動を取ったりすることが難しいという特徴があります。自閉症の治療の難しいと…

奇跡のプレイボールー元兵士たちの日米野球

この本に登場するおじいさんたちは、太平洋戦争当時、中学生・高校生くらい。 同じ戦争を体験したかつての日米の青年たちが、平和になったいま、今度は野球の試合をしようと集まった。 平和であるいまだからこそ、語ることのできる真実があるのだろうと思う…

山口淑子『李香蘭 私の半生』

2014年、山口淑子さん死去のニュース。 少しだけ紹介された彼女のプロフィールに、俄然興味がわいた。 間もなくアマゾンでは、この本が一時在庫切れとなった。同じように、彼女の半生に興味をひかれた人が殺到(それは言い過ぎか、せめて集中)したのかも。 …

サラの旅路―ヴィクトリア時代を生きたアフリカの王女

著者が古書店で見つけた一束の手紙。それは、19世紀半ばに、イギリス・ビクトリア女王の保護を受けていたある少女にまつわるものだった。その少女は、アフリカのある部族の女王であり、同じアフリカの国王に殺される寸前に助けられたのだという。それが、表…

「時代をきりひらくIT企業と創設者たち」シリーズ

TwitterもAmazonもWikipediaも。 スマホの普及とともにその利用率はどんどん伸びている。 似たようなサイトやアプリも次々に登場しているが、Amazonはトップに君臨し続けるし、Twitterのユーザー数は2015年には3,500万人を超えたと公式発表された。 インター…

『スティーブ・ジョブズの生き方』

インタビュー嫌いで有名なジョブズ自身が語った自伝書であり、スティーブ・ジョブズの死後まもなく発売された話題作となったベストセラー『スティーブ・ジョブズ I・IIセット』。 何十人という図書館の予約をなぎ倒し、やっとのことで私の元に巡り着いた割に…

マーギー・プロイス『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂』

14歳で漁船が遭難し、アメリカに渡った万次郎。現地では、アメリカに足を踏み入れた最初の日本人として「アメリカを発見した少年」と呼ばれたそうです。 海の向こうには鬼が住んでいて、捕まったら喰われるとか思われていた時代。日本とはスケールも考え方も…

境界を生きる 性と生のはざまで

性分化省疾患、性同一性障害、「体と心の性」の悩みを抱えている人は、実は多い。 体と心の性の悩みと言っても、70以上に及ぶ疾患がある。 生まれたときから体の性があいまいなことがある。体の性別と心の性別が一緒でないこともある。 「まずは私たちのよう…

ほんとうの「ドラッグ」

著者は、元・薬物中毒者。ということで、すごく説得力がある。 著者プロフィールによると… 30歳のときに覚せい剤を覚えて以来、薬物乱用者となり、37歳で精神病院に入院。それでも覚せい剤をやめられず39歳のとき逮捕。釈放後、アルコール依存症者の回復施設…

渡辺俊美『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』

「あぁ、楽しかった夏休みも終わってしまったぁ~」と嘆いているのはなにも子どもたちだけではない。またお弁当作りの日々が始まるのかと、幽鬱になりそうな母たちもいる。 春から息子の弁当が加わり、毎日4個のお弁当作りからしばしの解放感を味わいつつあ…

見ル野栄司 『シブすぎ技術に男泣き!』

人気低迷の工業を救うエッセイ漫画が登場 ここ数年、工業系高校の人気が落ち込んでいるという。ピークだった1965年に比べて、学校数は約4割減、生徒数は6割減だという。国内の工場も1980年代から半減しているというから、就職先の減少も影響しているのかもし…

ファビオ・ジェーダ『海にはワニがいる』

ひとことで言うと、アフガニスタンに生まれた少年が、安住の地を求め旅をする日々を事実に基づきまとめられた物語である。 しかし、少年エナヤットッラー・アクバリの人生が、こんなかんたんな一文で片付けられるほど簡単なものではないということは、まだ本…

米原万里『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』

タイトルが気に入って、小説なのかノンフィクションなのかも知らないままに読み始めましが、期待以上に面白かった。 (同じ喜びを味わいたい方は、ここから先は本を読んでからどうぞ) 米原さんのことをこの本で初めて知りました。通訳でありテレビのコメン…

『おばあちゃん泣いて笑ってシャッターをきる』

図書室で偶然見つけた本。タイトルから、カメラ好きなおばあちゃんのおはなしかと手にしてみると、ダムに奪われゆくふるさと・旧徳山村の姿をカメラにおさめ続けたおばあちゃんのノンフィクション。 岐阜県揖斐郡旧徳山村は、2006年に日本一の貯水量を持つダ…

「ぼくの父さんは、自殺した。」ーその一言を語れる今

今、日本で自殺をする人は年間約三万人にのぼるという。未遂者をふくめると、その数はさらにふえる。 NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」代表である清水康之氏はいう。自殺は「個人の問題ではなく社会の問題」、自殺は「自ら選んだ死」ではな…

『ぼくらのアフリカに戦争がなくならないのはなぜ?』

コンゴ・スーダン。世界中が平和を謳ういまの時代、平和のための援助を世界中から受けながらも、アフリカでは戦争が続き何十万人という人の命が無惨に奪われています。生きていても、少年兵士として強制的に闘いに参加させられている人も大勢います。 なぜこ…

みなまた、よみがえる

「ちょっと話ば聞いてくれんかね。」 「公害の原点」と言われる水俣病。 うつりゆく海の景色をずっと見守りつづけてきた恋路島が、静かに語りかけます。 うちは思うとたい。同じ命だけん、どっちかがどっちかを苦しめるんじゃなくて、いっしょに仲良ういきて…

チャンスがあれば…―ストリートチルドレンの夢

外国に行ってみたいとか、有名人に会ってみたいとか、家を建てたいとか、到底自分の恋人にはなってくれそうにもないステキな人とデートしてみたいとか。一度でいいから車内にいっぱいの札束をかき分けながら車を走らせてみたいとか(それはわたし)。 「チャ…

ジョゼフ・レマソライ レクトン『ぼくはマサイ―ライオンの大地で育つ』

著者のジョゼフ・レマソライ レクトンは、おもしろい経歴の持ち主です。 ケニア・マサイ族の生まれ。アメリカの大学で文学士号と修士号を取得。さらにハーヴァード大学で国際教育政策の修士号を取得し、現在は、ヴァージニア州北部にあるラングリー校で歴史…

高橋邦典『戦争がなかったら』

南アフリカのリベリア共和国という小さな国では、長い間激しい内戦が続きました。著者がこの内戦で出会った3人の子どもたちの、その後を取材しています。 少年兵として戦争に参加していた13歳のモモ。 砲弾で右手を失った6歳の少女ムス。 誘拐され少年兵にさ…

後藤健二『エイズの村に生まれて―命をつなぐ16歳の母・ナターシャ』

どこか差別的なタイトルにいい感じがしなかったが、著者が取材したエストニアの小さな村ナルヴァでは、住民の90%がエイズに感染し、文字通り「エイズの村」と呼ばれているという事実に、大きなショックを受ける。この爆発的なエイズ感染者の広がりは、遠…

イクバルと仲間たち―児童労働にたちむかった人々

過酷な児童労働の実情 イクバルはパキスタンの少年です。本当の年齢は、彼自身も知りません。中学生くらいでしょうか。でも、同じ年頃の子どもに比べると、とてもやせていて小さい男の子です。 イクバルは、家族の借金を返済するために4歳からじゅうたん工…

ちいさな労働者―写真家ルイス・ハインの目がとらえた子どもたち

写真家ルイス・ハインが出会った「小さな労働者」たち 「子どもの権利条約」を知っていますか?これは、子どもの基本的人権を認めるもので、1989年 に国連総会で採択されました。当然、大人は子どもの人権を守る義務があります。 残念ながら、21世紀の現在で…

アリになったカメラマン

昆虫カメラマンといえば、カメラを抱えた「永遠の少年」のイメージ。 自分がなりたいというよりも、その純真さや生き物との向き合い方に憧れている。 自分よりも小さなものに興味を持ち、大切に思う気持ち。 自分よりも大きな自然に敬意を払う謙虚さ。 昆虫…

桝太一『理系アナ桝太一の 生物部な毎日』

桝太一さんといえば、人気アナウンサーで1位を獲得して、3連覇達成するほどの人気アナウンサー。“ネガティブ思考”で“オタク気質”なところがいいらしい。こちらは桝太一さんの自伝的ノンフィクション。 理系アナ桝太一の 生物部な毎日 (岩波ジュニア新書) …

つなみ―被災地の子どもたちの作文集 完全

東日本大震災から1年。数週間前から、このフレーズをあちこちで耳にしますが、聞くたびに頭がくらくらする。 私に必要なのは、前を向くこと。考えすぎないこと。大事なのは、知ること、忘れないこと。 3月11日以降、それはたくさんの震災関連の本が出版…

福島の子どもたちからの手紙 ほうしゃのうっていつなくなるの?

福島の子どもたちからの手紙 ほうしゃのうっていつなくなるの? 作者: KIDS VOICE 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2012/02/07 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (2件) を見る 地震・津波の大きな被害に加え、福島第一原発の事故…

重松清『希望の地図3.11から始まる物語』

希望の地図 3・11から始まる物語 (幻冬舎文庫) 作者: 重松清 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2015/02/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 日刊ゲンダイにて2011年9月より2012年2月まで連載されたもの。2011年3月11日におこった東日本大…

スポーツオノマトペ―なぜ一流選手(トップアスリート)は「声」を出すのか

スポーツオノマトペ―なぜ一流選手(トップアスリート)は「声」を出すのか 作者: 藤野良孝 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2008/07 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 13回 この商品を含むブログ (8件) を見る 「オノマトペ」とは、なんじゃ? かんたん…

海と、がれきと、ボールと、絆。

岩手のスポーツを盛り上げるべく、県内のスポーツシーンを追いかけている雑誌『Standard』の編集部が、東日本大震災の震災後、岩手・宮城で被害を受けた沿岸の高校生たちを取材したノンフィクション 海と、がれきと、ボールと、絆。 作者: スタンダード編集…

島沢 優子 『左手一本のシュート 夢あればこそ!』

2007年4月3日、高校入学式の3日前、田中正幸は倒れた。 小学校5・6年生の時、ミニバスケットボールで全国大会に2度出場、中学では県下ナンバーワンプレイヤーと言われた、スーパースターだった。原因は、脳動静脈奇形という先天的な脳の血管異常に…

本郷陽一 『白球の約束 高校野球監督になったプロ野球選手たち』

2012年、名門高校の男子バスケットボール部部長が自殺したニュースが世間を騒がせた。顧問からの体罰が日常的にあったという…。同部を全国大会の常連校に育て上げ、16歳以下の男子日本代表チームのアシスタントコーチも務めていたという顧問。今回の事件に…

岩崎夏海 『甲子園だけが高校野球ではない』

甲子園といえば高校野球の代名詞だが、その舞台に立てるのは、ほんのひとにぎり。ほとんどの高校球児が甲子園の舞台に立つことはできない。 そんなことはわかっている。 わかっているからこそ、その輝きは大きく、強く焦がれるのだ。 甲子園だけが高校野球で…

羽生結弦人気のスポーツノンフィクション

フィギアスケート選手・羽生結弦さんのことがわかるスポーツノンフィクションをまとめました。 羽生結弦 『蒼い炎』 蒼い炎 作者: 羽生結弦 出版社/メーカー: 扶桑社 発売日: 2012/04/07 メディア: 単行本 購入: 11人 クリック: 113回 この商品を含むブログ …

すべての犬に里親を! 阪神・淡路大震災 1556頭の物語

1995年、阪神・淡路大震災。家、家族、仕事……一瞬でたくさんのものが失われた。 震災の被害に遭ったのは、人間だけではない。 かわいがってくれた飼い主を失い、路頭に迷うたくさん犬や猫のペットたち。 この本は、そうした犬たちを救い、新しい里親を見つけ…

トリイ・ヘイデン シーラという子

10代に読んで欲しいおすすめの本を紹介しているサイトですが、中には薦めることをためらう本もあります。トリイ・ヘイデンさんのノンフィクションもそんな本のひとつ。 人間の汚い部分や嫌な部分を描く時、歪んだ性や暴力の実態が見えてきます。この本は、知…

『ある15歳の死』

ニン・クは夜が明ける前に、この七階からとびおりた。そのとき、おとなたちはどこにいたのだろう。男も女も自分の望みのために一日働いて、眠っていた。自分の家の前を15歳の女の子が通り過ぎたのを、その女の子が生きていたくなくなったのを、おとなたちは…