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青りんごの本棚

~10代の読書案内~

湯本香樹実『ポプラの秋』

ポプラ荘のおばあさんが亡くなった。というところから、物語は始まる。 千秋が小学1年生になってすぐ、お父さんんが交通事故で死んだ。その年の夏に、千秋は母とふたりでポプラ荘に引っ越してきた。 ポプラ荘の大家さんはおばあさんで、このおばあさんの顔、…

梨木香歩 『西の魔女が死んだ』

「西の魔女が死んだ。」 中学生になってまもなく、学校へ行けないまい。まいは祖母のもとで一緒に「魔女修行」をしながら暮らすことになった。 豊かな自然に囲まれ、あるがままを受け入れてくらすこと。そして、祖母のいう「魔女修行」とは、何でも自分で決…

村田紗耶香『マウス』

村田紗耶香さん探しにまた書店へ。 文庫本コーナーをぐるぐる回り、見つけた1冊だけを手に入れる。そのままカフェで読み始めて、気づくと太陽がもう低い。読み切ってしまった。知らない人たちの中でひとり目を潤ませてるわたし、イタイ。 外で村田紗耶香ちゃ…

安東みきえ『頭のうちどころが悪かった熊の話』

ぼんやりしているつもりはないが、よくあちこちにぶつかって歩く。 先日も、車に乗り込もうとしたところで思いっきり頭を打った。いつものんびりの私でも急いでいたので、勢いがついた。がつ~んと頭蓋骨にまでびりびり響く。 毎日運転をしているのに、どん…

『100万分の一回のねこ』 

100万回生きたねこへのオマージュ作品集 日本で一番有名なねこと言えば、夏目漱石さんの書いたあの名前のないねこでしょうか。 吾輩は猫である (宝島社文庫) 作者: 夏目漱石 出版社/メーカー: 宝島社 発売日: 2016/06/24 メディア: 文庫 この商品を含むブロ…

本からはじまる物語

おかあさんのインスタ見てるとさ、毎日おやつ食べて本読んでばっかりだよね。いい仕事だなぁ~。と、娘から褒められましたʕ→ᴥ←ʔ ←なんか違う? 本好きならきっと気に入る短い物語 (株)トーハン発行『出版フォーラム』の連載「本からはじまる物語」(2005年…

角田光代 『だれかのいとしいひと』 

『だれかのいとしいひと』 角田光代 角田光代さん好きだけど、それだけじゃ買わないもん。もちろん、ジャケ買いです。酒井駒子さんだと、手元においていつも眺めていなくなる。 だれかのいとしいひと (文春文庫) 作者: 角田光代 出版社/メーカー: 文藝春秋 …

角田光代 『さがしもの』

(BOOKデータベースより)第132回直木賞受賞作家角田光代が、本への愛情をこめて描く新境地! 泣きたくなるほどいとおしい、ふつうの人々の“本をめぐる物語”が、あなたをやさしく包みます。心にしみいる九つの短編を収録。 学生時代に手放した本と、異国の古…

小川洋子 『人質の朗読会』

はじめての小川洋子さん。「博士の愛した数式」や「ミーナの行進」、エッセイ「シヅコさん」など、読んでみたい作品リストに入れっぱなしの作品を飛び越して「人質の朗読会」を手にとったのは、表紙の小鹿のせい。今村夏子の「こちらあみ子」と同時期に書店…

梨木香歩『エンジェル・エンジェル・エンジェル』

梨木香歩・著 (講談社文庫 2004/02 文字/中 156ページ) 文庫本もっているけれど、先日ブックオフで単行本を見つけたので購入してしまった。だって函入りってテンションあがるでしょ。第二刷だしさ。 梨木香歩さんといえば「西の魔女が死んだ」。 私は初読…

伊吹有喜 『なでし子物語』

(BOOKデータベースより)父を亡くし母に捨てられ、祖父に引き取られたものの、学校ではいじめに遭っている耀子。夫を若くして亡くした後、舅や息子と心が添わず、過去の思い出の中にだけ生きている照子。そして、照子の舅が愛人に生ませた男の子、立海。彼…

中脇初枝 『きみはいい子』

数ページ読んで、気が重い。新任教師が初めての担任で、一年生が学級崩壊。 あぁ、ほらやだ。 サンタさんが来ないのは、自分が悪い子だからなのだと。 母親に好かれないのは、自分が世界で一番わるい子なのだからと。 本気で思う子どもたち。 どれも、すごく…

椰月美智子 『るり姉』

『十二歳』『しずかな日々』で、椰月さんの描く子どもたちの世界が好き。子どもたちがあまり表に出さない(もしかしたら本人たちも意識していないだろう)心情がよくまぁ上手に描かれているなぁと感じています。 その椰月さんの描く、女子家族の物語。けい子…

吉本ばなな 『TUGUMI(つぐみ)』

TUGUMI (中公文庫) 作者: 吉本ばなな 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2014/07/24 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (2件) を見る 「確かにつぐみは、いやな女の子だった」 病弱でわがままな美しい少女つぐみとまりあはいとこ同士。海…

中脇初枝『こんこんさま』

どういう本が好きですか?と聞かれることがよくあるのだけど、返答にとても困る。それは、どんな人が好きかと聞かれるようなもので、例えば、時間に遅れる人は嫌いだが、「時間によく遅れるがいつも話のおもしろいYさん」のことは好きなので、必ずしも時間…

森絵都 『みかづき』

戦後、日本の学力を支えてきた大きな柱の一つである「塾」を舞台に、戦後から現代までの教育の問題や流れを描く。 というと、どこかお堅く聞こえるが、そこは森絵都さん。 「公」である学校教育と「私」である塾との闘い(というかお互いのライバル視)のも…

西加奈子『i』

「この世界にアイは存在しません」 アイとは二乗してマイナス1になる虚数のこと。 しかし、中学の数学教師が放ったこのひとことは、アイにとって呪いの言葉となった。 ワイルド・曽田・アイ。 それがアイの名前だ。 アメリカ人の父と日本人の母を持つ。 しか…

江國香織 『雪だるまの雪子ちゃん』

雪が降り始めた朝に。秋の海をながめると。なにもない暑い夕方に。 季節が変わるごとにふとページを開きたくなる作品が多いのも、江國香織さん作品のとくちょうのように思う。 たのしくも。せつなくも。 雪だるまの雪子ちゃん (新潮文庫) 作者: 江國香織,山…

原田マハ 『星がひとつほしいとの祈り』

星がひとつほしいとの祈り (実業之日本社文庫) 作者: 原田マハ 出版社/メーカー: 実業之日本社 発売日: 2013/10/04 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (4件) を見る 娘であり、母であり、妻であり・・・さまざまな女性を描く短編小説 売れっ子コピーライ…

伊集院静『ぼくのボールが君に届けば』

キャッチボールをしようか 野球をはじめたばかりの少年、事故で息子と孫を失ったひとりの老女、かつてのエース、すべてを失い旅に出る男・・・登場人物たちの年齢も境遇もさまざまであるが、それぞれにドラマを背負っている。なにかを抱えて生きる中で、野球…

江國香織 『神様のボート』

昔、ママは、骨ごと溶けるような恋をし、その結果あたしが生まれた。“私の宝物は三つ。ピアノ。あのひと。そしてあなたよ草子”。 神様のボート (新潮文庫) 作者: 江國香織 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2002/06/28 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 7…

中村文則 『遮光』

遮光 (新潮文庫) 作者: 中村文則 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2010/12/24 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 6回 この商品を含むブログ (10件) を見る 狂気に近くなるほど純真になる 死んだ恋人をまるで生きているかのように語りつづける男。男はすん…

姫野カオルコ『昭和の犬』

愛犬との心あたたまる感動物語、ではない。昭和33年生まれの“イク”の昭和女子的生き様の物語である。もちろんイクは犬ではない。 昭和の犬 (幻冬舎文庫) 作者: 姫野カオルコ 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2015/12/04 メディア: 文庫 この商品を含むブ…

岩城けい『さようなら、オレンジ』

言葉がなければ心を伝えることができない。 しかし、言葉があればそれができるかというとそうでもない。 言葉は道具と同じだ。 どう使うかはとても重要だが、まずは道具を持たなければ始まらない。 さようなら、オレンジ (ちくま文庫) 作者: 岩城けい 出版社…

江國香織『すきまのおともだち』

旅先で迷子になるなんて話はよくあることで、小さな子どもだったら、いつものスーパーの中でさえ日常的に起こりうる。だから、旅先から恋人へはがきを送るために郵便局をさがしていたはずが、とつぜん、迷子になってしまっても、それはごくありふれた出来事…

いとうせいこう『想像ラジオ』

想像ラジオ (河出文庫) 作者: いとうせいこう 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2015/02/06 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (18件) を見る <strong>「海沿いの小さな町を見下ろす杉の木のてっぺんから、「想像」という電波を使ってお送りしている番組 想</strong>…

梨木香歩『家守綺譚』

家守綺譚 (新潮文庫) 作者: 梨木香歩 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2006/09/28 メディア: 文庫 購入: 15人 クリック: 69回 この商品を含むブログ (260件) を見る つい百年前の物語。 売れない作家の「私」=綿貫征四郎は、亡き親友・高堂の実家の家守を…

川上弘美『神様』と『神様2011』

川上弘美さんは好きな三人の作家に入る作家さん。 「神様」は、川上弘美さんのデビュー作。小さいお子さんをそばで遊ばせながら2時間ほどで書きあげた本作が、第1回パスカル短篇文学新人賞受賞したというエピソードも、お気に入り。 神様 (中公文庫) 作者: …

井上ひさし 『四十一番の少年』

四十一番の少年 (文春文庫) 作者: 井上ひさし 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2010/12/03 メディア: 文庫 クリック: 3回 この商品を含むブログ (2件) を見る 二十数年ぶりに、孤児院を訪れた利雄。思いがけず、懐かしい修道士と再会した利雄の目に止まっ…

桜庭一樹 『私の男』

単行本の表紙を一瞥しただけで、「子どもお断り」のオーラが出ているこの本だが、金原瑞人さんが、「もしできるなら中学生の時に読んでみたかった」として、紹介していたので、その視点から、おすすめしてみたいと思う。ただし、絡みの苦手な方にはおすすめ…

桐野夏生 『優しいおとな』

「おとなには、優しいおとな、優しくないおとな、どっちつかずの3種類がいる。」 子どもが大人を見る目は、こちらが思っている以上に鋭い。 優しいおとな (中公文庫) 作者: 桐野夏生 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2013/08/23 メディア: 文庫 この…

吉本ばなな『キッチン』

キッチン (角川文庫) 作者: 吉本ばなな 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 1998/06 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 182回 この商品を含むブログ (296件) を見る (BOOKデータベースより)家族という、確かにあったものが年月の中でひとりひとり減って…

伊集院静 『機関車先生』

美し景色と温かい人たち。 子どもがまっすぐ育つのに、これだけあれば十分なのかもしれない。 なんてことを思う。 機関車先生 (講談社文庫) 作者: 伊集院静 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1997/06/12 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 36回 この商品を…

前田司郎 『夏の水の半魚人』

お母さんの初恋のハマチから名づけられた魚彦。転校生の海子はみんなの輪からはずれていく。車いすの今田は願いをかなえるため、ガラスのかけらを集めている。 魚彦の5年生の夏――。 夏の水の半魚人 作者: 前田司郎 出版社/メーカー: 扶桑社 発売日: 2009/02/…

森絵都 『気分上々』

児童文学作品に定評のある森絵都さんですが、彼女の短編もすごく面白いんですよ。時にブラックをスパイスにしたシュールな短編集はくせになります。 『気分上々』はあちこちの文芸誌やファッション誌に寄せた9つの短編をまとめたもの。その都度のテーマにそ…