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青りんごの本棚

~10代の読書案内~

辻村深月『鍵のない夢を見る』

止めようも抗いようもなく、気づくと狂気は隣にいた。 自分がいた場所が少しずつおかしくなっていたのだろうか。 それとも、おかしいと気づかずにそこへ自分から入り込んだのだろうか。 いずれにしろ、自分が気が付かないうちにそういうことになっていたらし…

湊かなえ『高校入試』

県立橘第一高等学校。通称・一高。 一高に受かれば人生の目標を達成したという人も少なくない、県下有数の進学校である。 合格発表の翌日には、ゴミ捨て場に机が山積みされるという。もう勉強しなくてもいい、というわけ。 その一高の入試前日「入試をぶっつ…

辻村深月 『朝が来る』

人生には求めるだけで手に入らないものがたくさんある。 だからこそ人はそれを強く求めるのだし、求めるほどにその価値は大きくある。 時に押しつぶされるほどに。 ある朝、栗原家に入った一本の電話。 佐倉ひかり、と名乗ったその女性は、受話器の向こう側…

東野圭吾『歪笑小説』

新人編集者が目の当たりにした、常識破りのあの手この手を連発する伝説の編集者。自作のドラマ化話に舞い上がり、美人担当者に恋心を抱く、全く売れない若手作家。出版社のゴルフコンペに初参加して大物作家に翻弄されるヒット作症候群の新鋭…俳優、読者、書…

とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢 ---ジョイス・キャロル・オーツ傑作選

著者はアメリカ文学界の中で、多作で知られる作家さん。ミステリー・ホラー・児童書などの小説のほか、詩や戯曲なども手掛ける幅広い作家さんでもあります。近年ではノーベル文学賞候補として名前があがることも。作品を読んで男性的だと思っていたら、実は…

ロイス・ローリー『ギヴァー 記憶を注ぐ者』

「満たされてる」とはどういうことか、「痛みを抱く」ことにどんな意味があるのか。 そんなことを考えさせられる。 ギヴァー 記憶を注ぐ者 作者: ロイスローリー,島津やよい 出版社/メーカー: 新評論 発売日: 2010/01/08 メディア: ハードカバー 購入: 6人 …

富安陽子 『ふたつの月の物語』

「それって、あの本の続編でしょ」 私が読みかけの本の表紙をのぞいて息子(小6)が言う。あの本の続編・・・あぁ、あれか。 「ちがうけど」とわたし。「だって、同じ表紙じゃん。見たことある」と息子。言いたいことはわかるけどね。違う作者さんなんですよ…

三秋縋 『スターティング・オーヴァー』

人生をやり直すことができたら、と考えない人はいないだろう。 私だって、もしやり直せるなら…なり直せるのなら… う~ん、まぁ、今のままでいいか。 スターティング・オーヴァー (メディアワークス文庫) 作者: 三秋縋 出版社/メーカー: アスキー・メディアワ…

鏑木連『エンドロール』

エンドロール (ハヤカワ文庫JA) 作者: 鏑木蓮 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2014/01/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る (BOOKデータより)故郷の島根を離れ、映画監督を夢見る青年、門川誠一。今は大阪でアパート管理のバイトで生…

初野晴 『水の時計』

オスカー・ワイルドの「幸福の王子」をモチーフにしたファンタジック・ミステリー。 けれど読み終えて私が思い浮かべたのは、アンデルセンの『絵のない絵本』。 水の時計 (角川文庫) 作者: 初野晴 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2013/07/17 …

小森香折 『声が聞こえたで始まる七つのミステリー』

タイトル通り、「声が聞こえた」の一文で始まるショートストーリー集。 高学年から読めるちょっと怖い話集です。 声が聞こえたで始まる七つのミステリー 作者: 小森香折 出版社/メーカー: アリス館 発売日: 2002/04 メディア: 単行本 クリック: 10回 この商…

園子温 『毛深い闇』

「愛のむきだし」「ヒミヅ」など海外での評価も高い映画監督・園子音さん。 書籍もいくつか出版されています。その園子音監督が「これまで書いてきたのはノベライズ。今作が初めてのオリジナルのデビュー小説である」と語ったのが、女子高生を主人公にした小…

山白朝子 『死者のための音楽』

『夏と花火と私の死体』を読了後、余韻が残る八月。 『優子』のぞわっと感をまた味わいたくて、手をのばしたのは山白朝子。 引きずられそうな女の子の表紙が怖くて、これまで遠巻きにしていたのだけれど、ぞくりを味わいたい好奇心を追い払うことはできず。…

マーカス・セジウィック 『Witch Hill―魔女が丘』

Witch Hill―魔女が丘 作者: マーカスセジウィック,Marcus Sedgwick,唐沢則幸 出版社/メーカー: 理論社 発売日: 2002/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 家の火事で心に傷を負い、ジェーンおばさんの家で療養することになったジェイミー…

クリフ・マクニッシュ 『ゴーストハウス』

幽霊の住む家には住みたくない。 (そりゃみんなそうだよ) でも、その家に幽霊が住んでいるかどうかなんて、住んでみなけりゃわからないし、ましてやそれがひとりじゃないとしたら? (その前に霊はひとりふたり…と数えるのだろうか。1体。2体…なのか) も…

乙一 『GOTH―リストカット事件』

人の秘密を知りたいと思う。 しかし、同時に人の秘密を知ることは怖いことだ、とも思う。 もし、いま目の前に手帳が落ちていたら、あなたなら拾って中を開くだろうか。 秘密の匂いがしそうなその手帳の前を、私なら素通りできるだろうか。 そしてもしも、そ…

沢村鐵 『封じられた街』

小学校高学年からおすすめのミステリーホラー。 (P[さ]3-1)封じられた街(上) (ポプラ文庫ピュアフル) 作者: 沢村鐵 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2011/09/06 メディア: 文庫 クリック: 4回 この商品を含むブログ (4件) を見る 不気味な雰囲気が漂う新…

道尾秀介 『ノエル』

藤城清治さんの表紙で、手にしたのは間違いない。 ノエル: -a story of stories- (新潮文庫) 作者: 道尾秀介 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/02/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 内容(「BOOK」データベースより)孤独と暴力に…

麻耶雄嵩 『神様ゲーム』~ミステリーランド

「かつて子どもだったあなたと少年少女のため」をコンセプトに、子ども向けの上質なミステリーを届けるミステリーランドから。 神様ゲーム (講談社文庫) 作者: 麻耶雄嵩 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2015/07/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (4…

森博嗣 『探偵伯爵と僕』~ミステリーランド

「かつて子どもだったあなたと少年少女のため」をコンセプトに、子ども向けの上質なミステリーを届けるミステリーランドから。 森博嗣さんの『探偵伯爵と僕』を読んでいた息子(小6)におもしろいかと尋ねると、「えっ!?読んでないの? うん、まぁまぁ」と…

貴志祐介 『黒い家』

最近蒸し暑いし。一気に涼しくなりそうな作品はどこだ。(過去記事です)どこへ行っても高評価で、読みたくてしょうがないのに、長年リストに入れっぱなしなのは、だって怖いのは苦手だから。「たまらなく怖い」らしいのです。 わかっているけど、読みたいの…

赤川次郎 『黒い壁』

赤川次郎さんの作品なのに、表紙が酒井駒子さん。 なんだかすごい組み合わせ。 ジャケ買いだったけど、アタリだったこの本。 黒い壁 (角川文庫) 作者: 赤川次郎 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2012/10/16 メディア: Kindle版 この商品を含む…

石崎洋司 『チェーン・メール』

このサイトでは、amazon.comでアフィリエイトをさせていただいています。レビューを読んで(もしくはたまたまリンクで訪れてちゃっただけの方もいらっしゃるかもしれませんが)、本を購入してくれる方がいらっしゃるというのは、とてもありがたく、わたしに…

白河三兎 『私を知らないで』

書店で目が合った。タイトルが秀逸。鮮やかなオレンジの表紙が綺麗。金原瑞人が解説を寄せている。 ページをめくらずにいられない。「どうしてウサギの耳は長いの?」書き出しの一文で、買わずにいられなくなる。 うさぎには、めっぽう弱い。(私はうさぎは…

ロバートウェストール 『かかし』

恐怖の対象は、突然現れることで驚かされるものもあるが、 じわじわと迫りくるのもまた、怖いものである。 カーネギー賞を二度受賞する、イギリス児童文学の巨匠・ロバートウェストールの「かかし」でじわりと迫りくる恐怖の正体はなんなのか。 かかし 作者:…

恒川光太郎 『夜市』

怖いものは苦手です。子どもの頃、「あなたの知らない世界」の誘惑に負けて見てしまっては、夜眠れずに泣きながらトイレに行く、そして母に叱られるを繰り返してきたわたし。分別が付くようになってからは、極力怖いものを遠ざけてきました。(リングはホラ…

津原泰水 『爛漫たる爛漫』

ロックとミステリーってあまりない組み合わせだと思うんだけど。 津原泰水さんといえば、グロテスクな作風のイメージが強かったのだけど、『ブラバン (新潮文庫)』などの青春小説も得意なの。 爛漫たる爛漫―クロニクル・アラウンド・ザ・クロック (新潮文庫)…

乙一『きみにしか聞こえない―CALLING YOU』

「読んでいない本について堂々と語る方法 (ちくま学芸文庫)」という本によると、良い司書は必ずしもすべての本を読んでいることとイコールではなくて、むしろ本を読む必要はなく、必要なのは本の内容を掌握しどこに分類されるべきかを知っていることなのだと…

皆川博子『倒立する塔の殺人』

往年のファンも多い女性ミステリー作家・皆川博子さんの10代向けのミステリーあります。 倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫) 作者: 皆川博子 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2016/09/30 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る (BOOKデータベース…

三上延 『ビブリア古書堂の事件手帖』

本好きは基本的にみんなミステリー好きなのです。 知らないことを知りたいという欲求の強い人たち。 謎解きは大好物に決まっている。 古書を通して謎を解き明かすミステリー。しかも表紙の女の子がかわいい。 気にならないわけがない。 これってライトノベル…

貴志祐介 『新世界より』

この分厚さ。単行本上下巻合わせて1074ページ。合わせて約8cm。1冊でも、ちょっとしたパーティーバックより幅がある…。 しかし、ちょっとしたパーティーバックよりも私を楽しませてくれる、SFファンタジー。それともこの世界は、SFホラー? そこがディ…

吉永南央 『萩を揺らす雨―紅雲町珈琲屋こよみ』

カッコイイおばあちゃんになりたいな、と思う。 そう、お草(そう)さんみたいな。 珈琲屋を営みながら、人の集まる場所でいろんな人の話を聞いて、少し頼られながら好きなことができたら、最高かもしれない。 萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ 作者: 吉永南…

東野圭吾 『カッコウの卵は誰のもの』

読書好きの例に漏れず、私も運動は決して得意ではない。 運動神経ゼロ、と言われたこともある。 小さい頃はこう言われると落ち込んだものだが、中学生の時50メートルを12秒というある意味驚異のスポードで走っていたことを思い返してみても、スポーツ能…

東野圭吾全小説ガイドブック

例えば、音楽においてのB'zやサザン。世代に関わらず、日本中の多くの人が「好きなアーティト」にその名前をあげ、発売CDのセールスの記録を次々と更新し、「日本人なら好きで当たり前」的にその存在がもはや殿堂入りしている。同じように、文芸界でその地…

桜庭一樹 『少女には向かない職業』

中学二年生の一年間で、あたし大西葵は、人をふたり殺した。 なんともどきりとするこの文章から、物語は始まる。 少女には向かない職業 (創元推理文庫) 作者: 桜庭一樹 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2012/10/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブ…

大崎梢 『片耳うさぎ』

小学校高学年から読めるライトミステリー。 片耳うさぎ (光文社文庫) 作者: 大崎梢 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2009/11/10 メディア: 文庫 クリック: 9回 この商品を含むブログ (23件) を見る 蔵波奈都は小学5年生。お父さんが共同経営していた会社が…

ホラー短編集 『八月の暑さのなかで』

児童文学の翻訳といったら、この人です。金原瑞人さん。わかりやすい言葉で、読みやすく、生き生きとした文章に組み立ててくれる。もちろん、作風はそのまま。だから、金原さんの翻訳は、作品ごとにちゃんと作者のカラーが出ている。その金原さんが、選んで…

伊島リスト 『飛行少女』

ホラーって、全くつかみどころのない意味不明のものに脅かされるというイメージがある。 (つまりはよくわからないんだけれど、説明なしで完結しちゃってもOKみたいなノリ) 『飛行少女』は、ただ背筋が寒くなるだけのホラーとは違う。 飛行少女 上 作者: 伊…

坂木司 『和菓子のアン』

読みながら絶対におなかがすいちゃう本がある。 この『和菓子のアン』もそうだよ。 「赤毛のアン」をもじったようなタイトルにまずひかれる。 和菓子のアン (光文社文庫) 作者: 坂木司 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2012/10/11 メディア: 文庫 クリック:…

大崎梢 『配達あかずきん』

「本屋の謎は本屋さんが解かなきゃ!」 本好きにおすすめのミステリー。 配達あかずきん 成風堂書店事件メモ (創元推理文庫) 作者: 大崎梢 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2012/01/01 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る とある駅ビルの6階…

東川篤哉 『謎解きはディナーのあとで』

「お嬢様の目は節穴ですか」 謎解きはディナーのあとで (小学館文庫) 作者: 東川篤哉 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2012/10/05 メディア: 文庫 クリック: 5回 この商品を含むブログ (25件) を見る 国立署に所属する若き女性刑事、宝生麗子は、金融とエレ…

柳広司 『虎と月』

小さいころ、ジオジオのシリーズが好きだった私は、強くて優しいライオンにあこがれている。 年を取ったら、『ジオジオのかんむり』のように、小さいものをやさしく守れる老ライオンのようになりたい。 虎ではなくてー。 虎と月 (文春文庫) 作者: 柳広司 出…

恩田陸 『蛇行する川のほとり』

少女をモチーフにしたミステリーがどこか特別に見えるのは 少女そのものがどこかつかみどころのない不思議な部分を持っているからだと思うの。 かつて少女だったころの自分は、そうでもないかと思っちゃうけど。 蛇行する川のほとり (集英社文庫) 作者: 恩田…

伊坂幸太郎 『チルドレン』

気がつくと、いつの間にか事件の渦中にいる。 あれ? 銀行にやってきたぼくたちはいつの間にか人質にされてしまって、いつの間にか証人となり、事件に加担しちゃって、いつの間にか解決してる? それが、伊坂幸太郎『チルドレン』のマジック。 チルドレン (…

宮部みゆき 『今夜は眠れない』

宝くじが当たったらいいな、と思う。 一億円が当たったら、ブックカフェを開く。 欲しいものなら山ほどある。 しかし、宝くじが当たったわけでもないのに、ある日突然5億円もの大金が手に入ってしまったとしたら少々気味が悪い、かもしれない。 今夜は眠れ…

僕が愛したすべての君へ/君が愛したひとりの僕へ

一気読みした2冊。 君が愛したひとりの僕へ僕が愛したすべての君へ 乙野四方字/著 人生とは、選択の繰り返しである。私たちは時に、選ばなかった人生について考えるが、それはあくまでも「もしも」の話。しかし、もしも選ばなかったはずの人生もどこかの時空…