読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

青りんごの本棚

~10代の読書案内~

白河三兎 『私を知らないで』

SF・ミステリー・ホラー ライト文芸 中学生
スポンサードリンク

書店で目が合った。
タイトルが秀逸。
鮮やかなオレンジの表紙が綺麗。
金原瑞人が解説を寄せている。

ページをめくらずにいられない。
「どうしてウサギの耳は長いの?」
書き出しの一文で、買わずにいられなくなる。

うさぎには、めっぽう弱い。(私はうさぎはひらがな表記だとおもう)
著者の名前にも「兎」も文字が入っているし。

 

私を知らないで (集英社文庫)

私を知らないで (集英社文庫)

 

 

中2の夏の終わり、横浜市のハズレの町へ引っ越してきた「僕」。
転校した学校は「不良とイジメはダサイ」がモットーで、表立ったいじめはない、のだけど。
美しく暗く、大人びて無表情の少女「キヨコ」は、クラスのみんなから無視されている。

なるほど、「キヨコ」は決してイジメられているわけではないのだ。
だれとも交わろうとせず、他人を寄せ付けないのは「キヨコ」の方でもある。
「私を知らないで」というタイトルにもそれはあらわれているのだけれど。
(その秘密もまた物語とともに明らかになります)

『私を知らないでほしい』という願望なのか、

それとも『私を知らない方が身のため』という警告なのか?
やはり『私を知ってほしい』という希望の裏返しなのか?

 

孤高でタフなこの少女「キヨコ」のことが気になって仕方がない「僕」にもまた秘密があるのですが…。

ちなみに「キヨコ」とは、いつもお弁当がおにぎりだけなので、山下清の女子バージョンからついたあだ名です。

 

自分を知られたくない。
相手を知りたい。
自分を知って欲しい。

心に留めておこうとしても、うまく隠しきれずに滲み出てしまう想いが切なく描かれています。
何度も出てくる「嫌い」と「好き」の短い言葉のやりとりなんて、くぅ~っときます。
終章は東野圭吾の『秘密 (文春文庫)』を思わせるような切なさ全開。

 

育つ環境を選ぶことができない子どもたちは不幸なのか。
必要なのはそんな答えじゃなくて、生き抜く強さとしたたかさなのです。

 

おすすめポイント

 

 

 

◇著者・白河三兎さんは、『プールの底に眠る (講談社文庫)』で、第42回メフィスト賞受賞

◇切ないライトミステリー