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青りんごの本棚

~10代の読書案内~

ある日、『砂の女』と。

ある日、本とわたし。
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こうして毎日、のこのこと雪に降られてはたまらないわねぇ。
一日に何度雪片付けをしなくちゃならないのか。
窓の外をながめては、いい加減嫌気がさして、ほぅとため息をつく。
しかし、それも仕方がない。
ここに生まれて、ここに住み付くものの定めというもの。

そうして、降り積もりゆく雪をながめて思い浮かぶのは安部公房の「砂の女」なのです。

夏の物語であるのに、ふしぎ。

 

砂の女 (新潮文庫)

砂の女 (新潮文庫)

 

 

「八月のある日、男が一人、行方不明になった。」の文章ではじまるこの物語。砂丘へ昆虫採集に出掛けたはずの男が、一晩泊めてもらった家から出られなくなってしまう。正確に言うと家の外へは出られるのだが、そこから抜け出すことができない。それも、突拍子もない事件が起こるわけでもなく、淡々と「出られなってしまう」のである。

10代で初めて読んだ時は、エロくてこわいおとなのおはなしという印象でした。

 

家に男手がなければ、切れた電球も自分で替えるし、雪片付けだってしなきゃならないし、重たい灯油缶を両手に抱えて何階までだって運び上げる。

今は男だって、彩りのいいお弁当を自分で作る時代だもの。

今では男も女もないような考え方が当たり前で、「男だから」とか「女だから」なんて古いとかナンセンスとかで片付けられてしまうけれど、やっぱり男だ女だということは、やっぱりあって当たり前なのよね。

 

なんてことを、いつまでも止まなそうな雪を尻目に、することもなくあたたかい部屋にごろんと転がって考えてみたりする。

 

だってほら、家がつぶれそうなほどに降り積もってるわけじゃないから、まだね。