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青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

井上ひさし『四十一番の少年』

 

二十数年ぶりに、孤児院を訪れた利雄。思いがけず、懐かしい修道士と再会した利雄の目に止まった、洗濯番号の木札。利雄の洗濯番号は四十一番だった。

 順番に懐かしい顔ぶれを思い出すうちに、とある番号で利雄の表情は歪んだ。恐ろしく、絶望の中にいながら、小さな希望を抱いていたあの頃の記憶がよみがえる。
 

 放送作家、小説家、エッセイストなど、さまざまな分野で活躍してきた著者の自伝的小説といわれている。孤児院に預けられる、というのは、子どもの力の及ばない大人の事情によるものだと思うのです。認めたくない、それでも受け入れざるを得ない環境の中で、抗う気持ちとはうらはらに、従順しなければ生きていけない、悔しさや切なさ。

著者ならではの精錬された切り口で描かれています。

 

四十一番の少年 (文春文庫)

四十一番の少年 (文春文庫)