読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

青りんごの本棚

~10代の読書案内~

中村文則 『遮光』

文学小説
スポンサードリンク

 

遮光 (新潮文庫)

遮光 (新潮文庫)

 

 

 狂気に近くなるほど純真になる

死んだ恋人をまるで生きているかのように語りつづける男。
男はすんなりと嘘をつく自分を、気味が悪いほどの冷静さで見ている。

恋人の死を受け入れられないから彼は嘘をつくのか。
それとも、恋人を失った悲しみを嘘で埋めているのだろうか。

彼は、いつも黒いビニール袋にあるひみつを持ち歩いていた…。

嘘と謎に満ちたこの物語はすぐに人を引き付ける。
だが、はじめっから彼は嘘つきで、装っている自分を意識していて、だから、物語には引きつけられても、私は男を敬遠している。
それが物語が進み彼の心に近くなっていくにしたがって、イラつく男の狂った物語は、愛の喪失感に落ち込んだ純粋な物語へと変わる。
物語の核心はより透明になってゆくのに、ストーリーはより狂気を帯びてくる。だからこそ、物語の幕引きが切ない。男はそれを必然であるかのように語るが。

 

私はどこかに、逃げて行きたかった。というより、私は最初から、存在など、するべきではなかったのだ。

 

自身の解説のなかで『土の中の子供 (新潮文庫)』にも言及していて、読んでみたいと思い手に取るが、よ、読みづらい…。


おすすめポイント

 

◇受賞歴
野間文芸新人賞受賞作
第129回芥川賞候補作

ピース・又吉が愛してやまない20冊!