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青りんごの本棚

~10代の読書案内~

森絵都『クラスメイツ』

中学生 児童文学
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 1年A組24人の24色


中学生になった。新しい教室、新しいクラスメイト。仲のいい友だちと別れた心細さもあるけれど、いつの間にかポニーテールのえりあしにも慣れるし、制服のスカーフだってうまく結べるようになる。

中学生になった春から、次の春まで。男子も女子も、人気者も学校が苦手な子もいる。24人のクラスメイトが、めぐる季節を語りながらつないでゆく連作短編。同じ場所にいても、考えてることはバラバラで思いが通じないこともある。でも、やっぱりどこかでつながっている。ひとつひとつの物語にそれぞれの個性が出ていて、それはまるで1年A組のクラス文集みたいなの。

もくじを紹介しようと思ったのだけど、それぞれのストーリーを一文紹介でラップ調にしてみたので聞いてください。いや読んでください。韻とか踏んでいませんが。(ならばなぜラップ調と・・・)

 

・・・前期・・・
中学生になったら変わりたいと思ってた (千鶴)
友達をひとりじめしちゃいけないの (しほりん)
ボケ役でやぶれかぶれ (蒼太)
美容院デビューでジョンかぶれ (ハセカン)
やっとみつけた あたしの親友 (里緒)
あたし、あした、告白しますって (アリス)
本当に手に入れたいものは その胸の中に (吉田君)
あの夏、ぼくに何が言えただろう (陸)
あたしは誰にも言えないひみつをひとり抱えてた (ゆうか)
あたしのことなんてだれも知らないくせに (美奈)
オレとあいつ 見ている景色はどう違うの (敬太郎)
しあわせはいつもおいしいごはんの中に (タボ)

・・・さあ、ここから後期・・・

いつも結果がすべてなのかな (久保由佳)
盛り上げてくのはオレしかいない (心平)
私の居場所はここにあるの? 
そうだよってことば待ってたんだ、ずっと (田町)
円周率なんてイラない、なんて今はわかんない (日向子)
至らないあいつのとばっちりばっかり (ノムさん
からまわりしてズレちゃって (このちゃん)
キレちゃってたって調子狂わせ (近藤)
ぼくの音は君に届けよう (楓雅)
ほんとのところは私だってわかんない (レイミー)
本気になること いつからあきらめたんだろう (真琴)
やるときゃやるって 俺だって (イタル)
いまその扉をしめて、次のドアへと・・・ (ヒロ)

どうでしょう。うまく歌えました?
言い忘れてましたが、男女のデュエットバージョンです。
お気に入りの『garden』sugar soul feat.Kenji 風にしてみました。←どのへんが?

 

 

 クラスの鍵を握る 田町の存在


こうして一文紹介書きながらも、またひとりひとりの物語を思い出しちゃう。5月から不登校になった田町を、心平・陸・ふけ顔のノムさんが迎えに行くシーンは読みどころ。いじめられているわけでもないし、学校に不満があるわけでもない。じゃあ、どうして田町さんは学校に来ないのか。だれも知らないんだよね。もしかしたら本人も。

田町さんから見たクラスメイトたちはみんな、学校生活を楽しんでいるように見える。地味でビリな自分とは違って。

 

でも、この本を読んでみればわかる。だれもが自分の持っていないものに劣等感をもち、多かれ少なかれ、ゆらぎ、もがいている。

クラス一の美少女アリスだって恋に躓くし、勉強ができる吉田くんには、どうしてもがんばらなくちゃいけない、よこしまな理由がある。(←吉田くんの章は私のお気に入り) すれ違うゆうかと美奈にもお互いの気持ちが見えていない。

 

そういうバラバラでごちゃごちゃがぶつかって、泣いたり笑ったり、転んだり、手を差し伸べたりして、ひとつの教室になんだかうまくまとまってゆく。そう、よくシャッフルされたトランプのように、おさまるところに具合よくおさまっている。

ジョーカーがはいる場所も、ちゃんとそこにあるから。

 

おすすめポイント

◇小学校高学年から

◇男女問わずおすすめ

 ◇入試問題によく出る作品

2015年 公立高校入試問題出典
  北海道・千葉県・広島県熊本県

その他、多くの私立中学校入試問題にも出典されています。

 

 

クラスメイツ 〈前期〉

クラスメイツ 〈前期〉

 

 

 

 

 

 関連サイト

森絵都が描く中学生群像「クラスメイツ」著者インタビュー公開! | 偕成社

イラストレーター斉藤弥世

↑クラスメイツの装画家さんです。