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青りんごの本棚

~10代の読書案内~

福田隆浩『この素晴らしき世界に生まれて』

児童文学
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本を読むことの一番の醍醐味は、本の世界を楽しむことだと思うのですが、中にはそこからさらに、読んでいる人を励ましたり勇気づけてくれる本というのがあります。
この本も、そんな本だといえます。

 

里美は、聾学校に通う小学6年生。補聴器なしではほとんど音を聞き取ることができない。県立の図書館で放課後の時間を過ごしていた里美は、一冊の古い本と出会った。『死の谷の王女』というタイトルのその本は、ひらくとかすかにバラの香りがして、里美の心をひきつけた。耳が不自由だったという著者が書いたその本を、里美はどうしても欲しくなり、デイバックにしのばせた…。

 

聾学校の中等部へ進むのか、中学校へ進むのかという進路のこと、自分だけが耳が不自由なことで感じる家族との隔たりなど、悩みを抱えながらも、1冊の本とそれを通して出会った老婆と交流の中で、自分を見つめ成長しいていく物語。

 

著者は、障害児教育に携わり、当時聾学校の教諭でもあった。障害を抱えている子供たちの心に近いところで、この本の執筆がされたのだと思う。里美が『死の谷の王女』という本に励まされながら成長していくように、この本が誰かを励まして、勇気づけてくれるんじゃないかと思う。
自分を変える力は、きっと自分の中にあるはずです。

 

おすすめポイント

 

◇第2回日本児童文学者協会長編児童文学新人賞受賞

 

この素晴らしき世界に生まれて (文学の森)

この素晴らしき世界に生まれて (文学の森)