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2017-58冊目:燃え殻『ボクたちはみんな大人になれなかった』それから「Lie Lie Lie」

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2017-58冊目

『ボクたちはみんな大人になれなかった』

燃え殻

 

ツイッターのつぶやきから生まれた文学。

アラフォーをノスタルジックにキュンとさせる。

どんな本か知らずに読んだけど、よかったよ。

「いま」ではない「いつか」を懐かしむことを私は嫌っていて、自由だったころを思い出すと少し苦しくなるから、それは選ばなかった未来の先。

だけど、この本はずけずけと私の中に思い出をぶち込んでくるから、ずっと放置してた懐かしい映画が無性に観たくなったけど、ところが、TSUTAYAさんには置いてないんだってさ。

やはり私には、思い出に浸る時間はないらしい。

 

中島らもさんの『永遠も半ばを過ぎて』を、あの頃、劇場で観た。

この映画が観たかったわけではなくて、なにか別の映画を観に行った時の同時上映だった気がするのだが、お目当ての映画がなんだったのかは、もう覚えていない。

郊外にシネコンができ始めたころで、駐車場も、音響も、設備が整った「きれいな」映画館はそれは魅力的だっが、だからこそあの頃、「みんな」と違う場所で違う映画を観ることで、なにかに立ち向かっている気になっていたのかもしれない。

ほんの数年くらしただけの小さな街の映画館だった。

豊川悦司、佐藤浩市、鈴木保奈美…豪華なキャストが地味に笑える映画に出演していた。

ある作家、目が覚めると原稿が勝手に出来上がっていた。だれが書いたものなのか?俺なのか?ヘンテコリンで謎めいた文章は文学界を混乱に巻き込んでいく!?

 

これが、期待せずに観たからなのか、たまらなくシュールで笑えた。

BONNY PINKさんのエンディング曲もよくて、アルバムを買ったのだった。

「Lie Lie lie」も収録されているデビューアルバムがものすごく気に入って、CDは擦り切れたりしないって知ってたけど、擦れそうなほどにリピートしてたな。

あのころ、流行していたスウェーディッシュポップっぽい軽やかさがおしゃれだったの。

Amazonは、デジタルダウンロードできるわよ、と得意げに腕組みをした。

私は本棚からCDケースを取り出しがさがさとさがす。

日本一のレンタルビデオ店も世界一のウェブ書店もあてにならない。

 

だから買っておいて正解なのよ。

わたしを作り上げてきた本もCDもすべては私の本棚の中にある。永遠に。