マックにて、原民喜『夏の花・心願の国』
娘とマックカフェにて。
原民喜『夏の花・心願の国』
慌ただしかった数日。
いつもより少し遅くに目を覚まし、布団の中でごろごろとテレビをながめたり、娘とだらだらとおしゃべりしたり。
いつもより少しのんびりとしたいつもの夏の午前8時15分。
気がつくと時刻は過ぎていて私の時計は止まらずに進んでいる。
だれかにとって、あの日もいつもと同じ朝になるはずで変わらない明日がやってくるはずだった。
だれもが同じ権利をもっている。
私と同じ明日が
あなたと同じ明日が
理由なく突然に奪わることの悔しさやかなしさや
やりきれなさや理不尽さを
声をあげることのできなかったたくさんの声を
忘れてはいけないと。
年に一度はそんなことを考える時間があってもいいでしょう。
あれから70年もの月日が流れてここは平和になったはずなのに
明日に絶望を抱く人たちの列はどうしてなくならないのでしょう。
私たちはなにがそんなに哀しいのだろう。
いつかのだれかの痛みを知ることで救われるのは過去ではなくて
たぶんいまを生きる私なのです。
このごろ思う。
知ってると思うことは
知らないことと同じなのかもしれない。
現代日本文学史上もっとも美しい散文で、
人類はじめての原爆体験を描いたと言われるこの作品。
出会えたことに感謝。