青りんごの本棚

ごはんと本とコーヒーと

チャーシュー丼と『はるなつふゆと七福神 』賽助

*今日の本とお弁当*

2018-1冊目

賽助『はるなつふゆと七福神 』

元日から書店へ。 購入する本は「今年の1冊目」。

「お年玉を握りしめて」と言いたいけれど、残念ながら今年はもらえなかった←今年はって…

読みたい本はたくさんあるが、年明けの1冊目なので「どんよりしない本」がいい。 できれば「痛快」で「派手さ」と「話題性」のある本。 あれこれと吟味して高校生直木賞 の『宇喜多の捨て嫁』を連れ帰ることに。

しかし、ここで息子が選んだ本が可愛らしくて、『宇喜多の捨て嫁』を捨て嫁して、こちらに鞍替え。 だって、表紙の感じとか新春っぽい。 七福神の物語だなんて、なんだかご利益がありそう。

さて、突然ですが問題です。 七福神をすべて応えよ。

……

ぱっと答えられるのは 恵比寿さま、大黒さま、布袋さま…の3人。

恵比寿天、大黒天、布袋の3人の名前は、七福神でも知名度の高い人気トップ3ではないだろうか。 少し時間をもらえれば毘沙門天、弁天さま(弁財天)も出てくるかな。 どちらも、パソコンがなければ漢字変換は怪しいが。

そして、どんなに時間をもらってもひねり出せないのが、残るふたり。 福禄寿と寿老人。 正解を聞いても「へ~」としか言いようがない。初めからインプットされていないのだ。これまでの人生の中で一度も聞いたことがない、なんてことはないはずなのだ。これまでにも何度か「七福神の名前全部言える?」というクイズに何度かぶちあたっているはずなのだから。その時にもきっと「へ~」と答え、もしかしたら「これをきっかけに覚えておこう」などと誓ったかもしれないのに、まったく記憶に残していない。いや、記憶に残らない名前。

この物語の主人公は、七福神の中でも人気の薄い福禄寿と寿老人。

自分たちの人気のなさを自覚しているふたりの老人たち←いや、わしゃ神様じゃ。老人ではない そして、仕事なし、恋人なしのニート女子・榛名都冬(はるな・つふゆ)。

人気をあげたい福禄寿と寿老人のふたりは、お参りに来た都冬(つふゆ)に白羽の矢を立て、インターネットを使って知名度をあげて欲しいとお願いにきます。かわりに、都冬の願いも叶えてくれるというのですが、大黒天からビール「大黒生」の商品宣伝を頼まれたり、夜右衛門(猩々・しょうじょう)から恋文の代筆を頼まれたり、なぜか頼まれごとが増えていくばかり。 そうこうしているうちに、大黒天と恵比寿天の間に喧嘩がはじまり、日本の景気は大乱れ…。ニート女子・都冬の願い(まずは仕事をくれ!)はなかなか進まない。

でも、ちょっと待って。 人間はいつも神様にお願いするばかりで、その思いは一方方向。 「いい仕事に就けますように」 「カッコイイ彼氏ができますように」 神様だって慈善事業じゃない。 奮発して500円のお賽銭を投げ入れたって、それでお手軽に願い事を叶えてもらおうなんてちょっと虫が良すぎる話。

「神様は願い事する人の願いを叶えるのではない。 神様の願い事を聞いてくれる人の願いを叶えてくれるのだ」

いつかだれかに教えてもらった言葉。

神様の願い事が叶う時、都冬の願いが届くのか。 焦ってはいけない。 まずは、神様たちに平和でいてもらうことが第一だね。そのためにも、しっかりと神様たちのお願い事を聞いておかなくちゃね。 ところで、お参りするときは忘れずに自分の住所と名前を告げないと、神様に届きませんよ。

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全国の書店員が選ぶ新人賞、第1回本のサナギ賞優秀賞を受賞。 お正月に読みたい本。2018年は、縁起の良さそうな1冊からスタートできました。 今年もよろしくお願いします。