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青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

吉野万里子『赤の他人だったら、どんなによかったか。』

これは、わたしにもきっとあなたにも起こりうるかもしれないこと。

でも起こるかもしれないなんて、普段は考えてもいないこと。

 

 通り魔事件の犯人が・・・

 

風雅は中学二年生。ある日、となり町で無差別殺傷事件が起こる。犯人はまもなく捕まったが、風雅のクラスでも毎日、その話題でもちきり。事件を面白がっていた風雅だったが、その犯人が自分と遠い親戚だと知る。そして、自分と同じ中学生の娘もいるのだという。夏休みが終わり、二学期最初の日、風雅のクラスに転校生がやってきて・・・。

楓雅の目線から語られる章と、犯人の娘となってしまった少女・聡子の目線で語られる章とで構成されています。


赤の他人なんていない、つーか

 

お父さんお母さんの家系、おじいちゃんおばあちゃんの家系と、どんどん家系をさかのぼってゆくと、当然ですが、どんどん親戚が増えていきますよね。そうしてたどってみると、まわりの人が実はどこかでつながっているような気がしてきます。クラスメイトが全員親戚になるというようなことは、よほどの小規模校でないとありえないかもしれませんが、友だちや知り合いをたどっていくとクラスメイトのほぼ全員がつながる、というのはありそうですね。

教室は他人の集まりだなんて思っているけれど、もしかしたら全くつながらない「他人」はいないのかもしれない。ハブられているあの子は他人だから関係ないかもしれないけれど、それが「知り合い」なら?「親戚」なら?

友達のともだち、親戚のしんせき。
みんなが、自分とどこかでつながっているだと考えたら、人との関わり方はもっと変わると思う。


あまり本を読まない人にもおすすめ

 

重苦しいテーマやタイトルですが、実はすごく読みやすい。文字の大きさやページ数は、小学校高学年でも読めるもの。もっとじっくり読ませる書き方もあったのでは?とも思いますが、少しでもたくさんの人に読んでほしい、特にふだんはあまりこうした本を読まない中学生にも手に取ってほしいという著者の意図があるように思えます。インパクトのあるタイトルや表紙もきっと。

ちょっと考えるきっかけになるといいな、と思う1冊。読みやすいので、誰にでもおすすめです。

 

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赤の他人だったら、どんなによかったか。

赤の他人だったら、どんなによかったか。