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青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

森絵都『アーモンド入りチョコレートのワルツ』

森絵都さんの作品は好きすぎてどれが一番かだなんて言えないけれど←確実にこの作品が一番好きだと、どこかのページで語っています。

 

短編集なら迷わずこれが一番好き。直木賞を受賞した『風に舞いあがるビニールシート』よりも。『風に舞いあがるビニールシート』は一度しか読んでいないが、『アーモンド入りチョコレートのワルツ』は少なくとも4回は読んでいる。

私にとって、いつも心にあって、時々ページを開きたくなる作品のひとつ。

 

森絵都さん、この短編集についてあとがきでこんな風に語っている。

 

はじめての短編集は、一気にみつごを生んだようで、喜びも三倍。出来はともかく、それぞれがちがう顔をしていて、それぞれに思い入れがあります。

 

ピアノを弾きながら、いつかピアノ曲をテーマにした短編を書いてみたいと生まれた作品たちは、作品のタイトルもピアノ曲の題名そのまま。

そのみつごたちを、曲付きで(ただのリンクです)紹介しましょう。


*もくじ*
子供は眠る ロベルト=シューマン<子供の情景〉より
彼女のアリア J=S=バッハ <ゴルドベルグ変奏曲>より
アーモンド入りチョコレートのワルツ エリック=サティ<童話音楽の献立表>より


子供は眠る ロベルト=シューマン<子供の情景〉より

ぼくら5人のいとこは、夏休みに章(あきら)くんの別荘に集まるのを楽しみにしている。ぼく、智明、ナス、じゃがまる、そして一番年上で中三の章くん。昼はたっぷり遊んで、夜には章くんが選ぶクラシック音楽の鑑賞会をする。楽しかったはずの夏の別荘だったけれど、今年は章くんとの関係もなんだかしっくりこない・・・。

子どもから大人になり始めるときの純粋さと現実を見る目の入り混じったあの・・・。

 

 彼女のアリア J=S=バッハ <ゴルドベルグ変奏曲>より

この作品お気に入り。
球技大会をサボって旧校舎へと向かったぼく。誰もいないはずの建物で聴こえてきたピアノの音。それは、ぼくもよく知っている曲だった。かの有名なバッハが不眠症患者のために作ったゴルドベルグ変奏曲だ。不眠症のぼくにとって、眠れない夜のパートナー。曲を弾いていた藤谷りえ子も、もう二か月も不眠症だという。不眠症患者どうし、ぼくらは毎週、この元音楽室で落ち合うように・・・。

淡い恋心を描く胸キュンストーリー。

 

アーモンド入りチョコレートのワルツ エリック=サティ<童話音楽の献立表>より

絹子先生は、わたしたちのピアノの先生で、わたしと君枝は、絹子先生のピアノ教室の生徒。絹子先生はちょっと変わっていておもしろい、魔女みたいでもある。ピアノが弾けない日は宇宙人の話をしてくれたり、即興で曲を弾いて聴かせてくれたりする。そんな絹子先生の最愛の人は、二十世紀前半に活躍したフランスの音楽家サティ。ある日、絹子先生のうちに、サティのようなフランス人・ステファンがやってきて・・・。

絹子先生とわたしと君枝とサティおじさんの、楽しいことがつまった木曜日のレッスン。

 

あたしたちが大人になったらさ、好きなもんを好きなように好きなだけつくって、そんで毎日を木曜日みたいに、きらきらさせてやろうな

 

これはお気に入りの君枝のセリフ。

大人になるといろんな事情に縛られることも多くて、子どものころに大切に思っていたきらきらした日々を忘れてしまうのかもしれない。でも、忘れずにいれれば、またきらきらした日々は取り戻せる。

 

 

おすすめポイント

◇第20回路傍の石文学賞

森絵都さんはじめての短編集

ピアノ曲をテーマにした本

 ◇音楽の好きな人に

 

アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)

アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)