青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

辻村深月 『朝が来る』

人生には求めるだけで手に入らないものがたくさんある。

だからこそ人はそれを強く求めるのだし、求めるほどにその価値は大きくある。

時に押しつぶされるほどに。

 

 

ある朝、栗原家に入った一本の電話。

佐倉ひかり、と名乗ったその女性は、受話器の向こう側で言った。

「子どもを返して欲しいんです」

 

栗原佐都子と清和のひとり息子・朝斗は養子だ。佐倉ひかりは、朝斗の生みの母親の名前で、あのころ彼女は中学生だった。夫婦は電話をしてきた佐倉ひかりという女性と会うことに決めるが…。

 

不妊治療から養子縁組制度を選んだ夫婦の葛藤。

望まれない妊娠をした少女。

ひとつの小さな命の誕生が、光ををもたらす。まるで長い闇を抜けて朝がやってきたような希望となる。

しかしその光はすべてを照らしはせず、愛情を失った少女は再び闇に飲まれていく。

 

ただ求めるだけでは手に入らないものばかりなのだ、ここは。

大切なのは、大切なものを見極めることと見失わないこと。

手放さないこと。

 

いのちこそが、あしたへの希望をもたらす光。

 

おすすめポイント

 

◇2016年本屋大賞第5位

◇ドラマ化

 

朝が来る

朝が来る