それは自分に共鳴する音楽に突然出会うことに似ている~長谷川夕『僕は君を殺せない』
長谷川夕『僕は君を殺せない』
2015年度ノベル大賞受賞作
君は、僕の、たくさんある嫌いなもののうちのひとつです。
それなのにどうして、そんな風に笑うのでしょうか。
君が笑うたび、僕は泣きたくなります。
『僕は君を殺せない』長谷川夕
気に入った本は、表紙の折れ具合でわかるね。
何度も読みかえさなくても、心に脳に強く残る物語がある。
残るのは物語なのだろうか。
ストーリーではない。
この作者の使う言葉のリズムがわたしに合っているのだと思う。それは、自分に共鳴する音楽とある日突然に出会うことにとても似ている。
物語をひとつ読み終えただけで、間違いなくそうだといえる作家に、こうして時々出会う。だから新しい物語を読むことを止められないのだ。
新刊『おにんぎょうさまがた』も購入してしまったことを白状します。