青りんごの本棚

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中沢啓治『はだしのゲンわたしの遺書』

  
原爆が投下された直後のヒロシマの様子を怖いくらいにリアルに描いた漫画「はだしのゲン」(中沢さんに言わせると本当はもっとリアルに描きたかったらしいのだが).

これは中沢啓治さんの自伝的ノンフィクション。

 

ずっと、『はだしのゲン』はフィクションだと思っていた。ゲン少年が奇跡的に無傷で助かったり、原爆直後に母が出産したり、そんな驚きの連続がひとりの人間に起こるわけがない、なんて。だから、漫画の出来事が中沢さんの経験ほぼそのままだったことにまず一番驚いた。

 

 1945年8月6日、著者の中沢さんは当時小学1年生でした。

ここまでリアルに描けるのは、当時の記憶が焼き付いて離れないほど鮮明に残っているからなのだ。「原爆」という言葉を見るだけで、死体の腐る匂いがよみがえり具合が悪くなるという。

あの頃をふりかえる度に、家族を失った苦しさや母の死への悔しさを思い出して辛くなるという著者が、それではなぜ原爆漫画を連載しようと思ったのか。

はだしのゲン」を描くことでどうしても伝えたかった思いが、この本の中で語られています。

 

漫画ではわからないゲン少年の心の内や、上京後の中沢さんの話など、語りかけるような文章でまるでドキュメント番組を見ているように読めます。私のように『はだしのゲン』の漫画が怖くて読めない、という人におすすめしたい。

 

2012年12月19日、中沢啓治さんが亡くなったその翌日に、本著が出版されたというのも、なにか運命めいたものも感じる。

 

おすすめポイント

◇漫画「はだしのゲン」の作者、中沢啓治さんの自伝書

◇漫画は苦手な人にも、読みやすくおすすめ

NHKクローズアップ現代ー世界をかける“はだしのゲン”

 

本をチェックする

はだしのゲン わたしの遺書

はだしのゲン わたしの遺書

 

 

漫画「はだしのゲン

漫画「はだしのゲン」は、日本だけでなく、10ヶ国語以上に翻訳され世界中で読まれています。

〔コミック版〕はだしのゲン 全10巻

〔コミック版〕はだしのゲン 全10巻