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青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

本郷陽一『白球の約束 高校野球監督になったプロ野球選手たち』

毎年ドラフトで70人前後の新人が入団してきて、同じ数だけ、社会という野に放り出される。プロ野球選手の引退の平均年齢は29歳。引退後に高校野球の指導者をやってみたいと考えている選手は多い。ところが、プロ野球とアマチュア野球の間にはひょいとはまたげない、たか~い壁があるらしく、その門戸は決して広く開かれてはいないようだ。

そのきっかけともなった柳川事件については、この本をきっかけに私も初めて知った。

詳しくはWikipediaでどうぞ↓

柳川事件 - Wikipedia

 

現在、プロ野球選手が高校野球の指導者として関わるためには教職免許の取得と2年間の教員実績が必要で、その資格を認められた指導者は29名。

そのうち5名の現役指導者と、その門戸を開かせた男・後原富の物語をつづるノンフィクション。


ちなみに、後原さんは現役を引退し現在は骨董店の店主をされているそう。

大越基ダイエー早鞆高校
杉本友オリックス・横浜・ヤクルト⇒仁川学院高校)
大野久阪神ダイエー・中日⇒東洋大牛久高)
佐野心(中日⇒常葉菊川高)
酒井弘樹(近鉄阪神⇒名経大高蔵高)
後原富(東映⇒瀬戸内高)

 

指導者と言ってもそれぞれなのね。みんなが取り憑かれたように甲子園を叫んでいるわけではない。野球を楽しむ、甲子園はあくまでも結果と言い切る佐野心の考え方に好感が持てた。

 

とはいえ、それは私が部外者だから言える楽観的発言なのかもしれない。

 

元プロだからこそ学校からは甲子園を当たり前のように期待され、それに応えねばならないというプレッシャーも切々と感じる。

 

酒井弘樹が監督を務める名古屋経済大高蔵高校などは、以前は野球部がなかった。強豪ひしめく愛知県で、5年以内に甲子園に出ると豪語する。「そこで出られなかったら僕の価値はなくないっすか」と真顔を見せて語る酒井の本音も正しいと言えるのかもしれないが、私は疑問を感じる。

 

スポーツが人を魅了するのは、ただ楽しむことに意味があるからではないだろうか。ボールがバットに当たった手ごたえ、シュートが決まった時のネットの音。そこに学校や監督の利益を優先させては、子どもたちもやりづらいだろうなぁとただ同情する。まぁ、そんなにやわくてはスポーツなどできないのかもしれないが。

 

2012年、名門高校の男子バスケットボール部部長が自殺したニュースが世間を騒がせた。
顧問からの体罰が日常的にあったという…。
同部を全国大会の常連校に育て上げ、16歳以下の男子日本代表チームのアシスタントコーチも務めていたという顧問。今回の事件に際しても、この熱血タイプの顧問をかばう声も多いという。
どんなにバスケットが大切でも、人生はそれだけじゃない。
むしろ、高校を卒業し社会に出てからが人生のスタートなのではないだろうか。
しかし、その土台に立っている高校スポーツの指導者は、もしかしたら少ないのかもしれない。

 

そのころ、偶然手にしたのが「高校野球監督になったプロ野球選手たち」というサブタイトルのついたこの本。

 

話は少々それたが、プロ野球に詳しくないわたしは、失礼ながらここに登場する方はどなたも存じ上げなかったが、戦力外通告を受けた選手が人生を切り替える潔さ、それでも離れられない野球への執着心など、野球を知らなくても興味深く読めた。

 

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