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青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

瀬尾まいこ『春、戻る』

瀬尾まいこ春戻る

結婚を間近にひかえたさくらの前に、ある日突然「兄」が現れた。

どう見ても、さくらよりも年下。

それに、さくらにはもちろん、兄などいない。(私にも兄などいない)

それでは、さくらの生年月日から音痴で牛乳が飲めないことまで知っている、兄と言い張るこの男はいったいだれなのだろう?

さくらのアパートで待ち伏せし、お調子者で、結婚相手の山田さんがどんな男か兄として熱心にチェックする、この人だれなの。

 

さくらと一緒に、狐につままれたような気持で読み進めるのだが、だんだん何者だっていいじゃないかと思えてくる。

物語に登場するだれもが(山田さんも母も妹までもが)この「兄ではない兄」にさほど警戒心を持たずに、すんなり受け入れちゃってるし、何よりもさくらのことを本当の妹として心配しているのだもの。

山田さんちの和菓子屋さん(もちろんさくらの嫁ぎ先となる)に押しかけて大福をたらふく買い、デートにくっついてくるのも、さくらを思えばこそ。本当の兄だって、こんなに妹のことを考えないだろう。

 

 

(本文より)

今まで誰にも話さなかった出来事は、口にしてみると取るに足らないことに変わっていた。これくらいの挫折は、生きていくうえでごく自然に起こることだ。ふたを閉めて自分で重苦しい記憶に変えていただけで、その時々にすてきな出来事もあった。表に出せば、そのすべては懐かしい過去になっていく。

 

 

もしかしたら、自分のことをすごく気にかけてくれている人がいるのかもしれない。まわりを見回してみて。だれかにちゃんと支えられていたってことに気が付くかもしれないね。

 

 おすすめポイント

◇春におすすめ

◇おいしい小説

◇結婚の物語

 

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文庫本よりもこちら↓の単行本のカバーが好き。

春、戻る

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