青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

住井すゑ『橋のない川1』

「なぜ自分たちが理不尽な差別を受けなければならないのか」

 

 

誠太郎と孝二の幼い兄弟は、父を日露戦争で亡くしたが、祖母ぬいと母ふでと小森の部落に暮らす。明治~大正時代にかけての、部落差別に生まれた少年の物語。

 

重く暗いテーマを背景としている(と思う)のだけど、子どもたちの暮らしを中心に物語が進むので、思っていたよりもずっと読みやすい。

 

賢い孝二が幼いながらに、悩みを抱える姿は切なく、心に添うようにぐんと物語にひきこまれてしまった。また、葛藤を抱えながらも現状を受け入れて、明るく生きようとする「ぬい」や「ふで」の姿がのどかでもあり、子どもたちを想いやる気持ちのあたたかさに、子育ての本質を見たような気がする。

 

大人たちの会話や学校ので出来事など子どもたちの生活に絡んで、この時代のポイントが語られていて、明治~昭和初期の歴史を知ることもできる。

 

作品のことをよく知らずに読み始めたが、全7部(と表題作のみの8部)の長編小説。ストーリーと全編を通じて流れるやわらかい文章に(置かれている状況は決してあたたかくなどなく、むしろ厳しいのだが)惹かれ、一気に読んでしまった。

 

物語の中には、水平社を立ち上げた西光万吉をモデルとした寺の息子・秀ぼんも登場する。(映画では、この秀ぼんが主役であるらしい)

 

中学生には少し理解するのが難しい内容かな?と思いつつも、10代のうちにこんな作品も手に取ってほしいと思う作品。

 

おすすめポイント

 

◇明治~大正時代を知る本

◇歴史を知る本

◇家族愛が描かれている本

 

 

橋のない川〈1〉 (新潮文庫)

橋のない川〈1〉 (新潮文庫)

 

 

 

 橋のない川シリーズ

 

 

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