青りんごの本棚

中学生・高校生におすすめの本をあつめています

伊島リスト『飛行少女』

ホラーって、全くつかみどころのない意味不明のものに脅かされるというイメージがある。(つまりはよくわからないんだけれど、説明なしで完結しちゃってもOKみたいなノリ)

『飛行少女』は、ただ背筋が寒くなるだけのホラーとは違う。

 救急センターに一人の少女が運び込まれた。劇毒薬を大量に飲み込んだと思われるその少女に蘇生措置を施しながら、女医・立花麗火は、違和感を感じていた。生きながら腐りゆく体…。その少女は、自分がかつて治療で関わったことのある少女と同じ顔をしていた。さらに、ほかにも同じ顔を持つ少女が現れる。共通点は16歳。

新感覚のファンタジック・ホラー。

 

映像化したら絶対気持ち悪いだろうなぁというシーンも多く(たぶん映像でみたら私は吐く)、恐怖におびえる少年少女たちの心情なんかは「リング」レベル。

 

謎を解き明かしていくうちに、恐怖の現象が全くの理由や実体を持たない太刀打ちのできないものなのではなくて、なすすべのあるものであるというところに、希望を感じさせる点が、他の恐怖小説にはないところ。

女医さんが謎を解き明かしていくので、医学・科学の面からの解析も多く(難しい言葉もたくさん出てきて、理解度はあやふやだったり)、その中で、医学では説明のできない現象(それは運命といわれるような見えないものの力)をオカルトとしてホラーに仕上げたという感じです。

ホラーが苦手でも、ミステリーが好きなら楽しめると思います。

 

表紙の写真がすごくきれいで、これにひかれて本を手にする人も多いのでは。綺麗と恐いはにているかも、なんてふと。


死んでも違う形で生き続けるという設定、瀬名秀明の「パラサイト・イヴ」を思い出しました。

 

ネタバレになるので、多くを語れませんが、謎を解き進めるうちに、まさかの……という展開に流れていきます。ともすると批判もありそうなナーバスな出来事も扱っていますが、著者が、敬意を持って取り上げているとわたしは感じて、いろんな人が、関心を持つきっかけになるといいかな。

 

舞台の設定はクリスマス前の12月ですが、内容的にも、またホラーでもあるし、暑い夏の季節におすすめです。

 

おすすめポイント

◇夏におすすめホラーミステリー

 

 

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飛行少女 上

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