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青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

自炊男子 「人生で大切なこと」が見つかる物語

草食系男子・メガネ男子・スピリチュアル系男子…、男子を分類するのはもうやめませんか?と呆れ顔のあなた、そんな本ではありませんのでご安心を。逆に、萌え系弁当男子的小説を期待していたあなた、これまたごめんなさい、ちょっと違います。

 

イケベタカシは、教員を目指し九州教育大学に通う大学1年生。
毎日の食事はコンビニ弁当と学食で済まし、夜は飲み会でイッキ、学校に慣れた頃にはさぼれる講義はサボり、学祭で知り合った彼女と学生生活を謳歌している。
そんな模範的な日本の大学生である(!?)イケベ君だが、彼女との出会いがきっかけで料理をするようになり、自炊にハマりだしていく。バイト先で知り合う人たち、大学の先輩、先生、農家のウエノさん、いろんな人との出会いを通じて、「食べること」の大切さを学んでいく。

ここで、著者・佐藤剛史さんのプロフィールをちらりと。

1973年、大分県大分市生まれ。
福岡教育大学で教員を志し、二度、教員採用試験を受けるが失敗。九州大学農学部の大学院時代に、NPO法人環境創造舎を設立。以降、研究と実践活動の統合を目指し、環境保全や食育などの分野で多彩な事業を展開している。現在、九州大学農学部の教員として、環境経済学の研究と学生の人生の"happy”を本気で考えた教育を行っている。「体験や参加を重視した授業」は学生から高い支持を得て、研究室には学科、学部を超え、他大学からも多くの学生が集まる。


この物語、あくまでもノンフィクション。
実在の人物・団体とは一切関係ありません。
なのですが、著者の経歴を知ってから読み始めると、著者の自叙伝では?なんて思ってしまう。著者自身もあとがきで、事実の部分もあるということを話してます。

 

「食べること」の大切さなど、言われるまでもなく知っていると言われるだろうが、この物語でいう「食の大切さ」とは、自然のもの・新鮮ないいものを食べることが体にいいという話ではない。もちろんそれは、ベースにあるけれど。

「食」に関心を持つことで、自分の「心」が変わる。日常の生活の中で、埋もれている小さなことに「気づく心」が芽生える。「食事」とは本来、心遣いを感じることができるぬくもりあってこそのものなのだと、私もまた改めて感じさせられた。

 

「いただきます」という言葉ひとつとってもそうだ。ご飯を前に、あいさつとして習慣のように口にしているが、ご飯を作ってくれた人への感謝、素材を作ってくれた人への感謝、素材そのものの命を頂くことへの感謝。私たちの命は、いろんなものから頂いた命で繋がれているのだと、思い出しながら。

 

いまどきの青年が、出会いと体験の中で大切なことを学び取っていく、という成長ストーリー。同じような作品なら、喜多川泰さんの「「また、必ず会おう」と誰もが言った。」も、ぜひ。

 

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自炊男子 「人生で大切なこと」が見つかる物語

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