青りんごの本棚

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辻仁成『海峡の光』

辻仁成海峡の光

 辻仁成さんといえば、このごろでは中山美穂さんの元・夫というイメージが先行しているような気もするが、芥川賞も受賞している作家さん。

  それ以前に「母なる凪と父なる時化」で第110回芥川賞の候補にもあがっている実力派の小説家。その芥川受賞作品が、この作品。

 

青函連絡船に客室係であった<私>は、連絡船の廃止に揺れていたころに船をおり、今は函館少年刑務所で働いている。

そこへ一人の男が、府中刑務所から移送されてきた。知っている男だった。

男の名前は花井修。

花井修は、かつて小学校時代のクラスメイトであり、<私>は花井から苛めにあっていた。花井の苛めは巧妙だった。優等生で人望も厚い花井は、<私>を貶めることによって、それと気づかれないように教室の中にヒエラルキーを作り上げることに長けていた。

 

かつて自分を貶めていた少年は、囚人となって看守である<私>の前に現れた。

 ざわつく心は、大人になっても癒えていない傷がもたらすものなのか。

 短くも、強い影を落とすような、心に残る作品。

 

「海峡の光」は、中村獅童さん、片桐仁さんが出演して舞台化もされています。

獅童さんが花井役、片桐さんが「わたし」。 

 

 おすすめポイント

◇第116回芥川賞受賞作

◇中学生から読める芥川賞作品

◇舞台化

 

海峡の光 (新潮文庫)

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