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老後に必要なお金と人とのつながり~『下流老人』藤田孝典

『下流老人』藤田孝典

日々が目まぐるしい早さで通り過ぎる。

目の前のことで精一杯で、なんとか生活に振り落とされないようにしがみつくような毎日。

しかし、もしも。

こんなに頑張ってるのに、高齢者になった時に、安定した暮らしができないとしたら…。

『下流老人』藤田孝典

普通の生活を送ることができない、下流な生活を強いられている高齢者が増えているという。

正社員として安定した収入と貯蓄があっても、決して老後は安心ではない。

3000万円の貯蓄が数年で底をついた男性もいる。

食べるものに困り、野草で飢えをしのいでいる人がいる。

それは自業自得、個人の問題でしょ、という人がいる。

果たしてそうなのかな。

 

いま、見えはじめてきた下流老人の実態がこの本の中にある。

しかし、把握できているものも、氷山の一角でしかないだろう。

これは誰にでも簡単に起こりうることと言える。

ちゃんと働いているあなたにも。

たくさん貯蓄しているはずのあなたにも。

ゆったり働き、あまり貯蓄のないわたしにも←当然の最前線

 

長年、日本のためにと頑張って支えて来た人たちが、お荷物のように扱われ肩身の狭い思いをし、困窮した中で人生の最後を迎えるのは、あまりにもしのびない。

社会保障に対する意識を変えること、正しい情報の提供など国ができるシステム改善もあるが、下流老人にならないためのキーワードは、人間関係であるという考察が深いな。

2017-26冊目。