でもこんな『告白』はごめんだわ
5/9は告白の日。
秘めた想いを伝えてみるのもいいかもね。
でも、こんな告白はごめんだわ。
『告白』湊かなえ
なんて、後味の悪い物語だろう。
小説推理新人賞受賞作を収録したデビュー作は、この年、文春ミステリーベスト10で1位、第6回本屋大賞受賞。
その衝撃的な結末に(結末ばかりでもないが)映画化ではR-15指定となったことでさらに話題となった。
イヤミスの女王・湊かなえの誕生である。
その後いくつものベストセラーを生み出し、いくつもの作品を読んできたが、はじめてこの本を読んだ時の「嫌な感じ」にはどれも及ばない。
しかし、理不尽に娘を奪われたとしたら私だって、法に頼らず制裁を加えたいと考えてしまうかもしれない。たとえ、相手が中学生だとしても。
むしろ、法では裁けないのだから、自分でやるしかない。
そして、淡々と告げるのだ。
罪悪感を持たない自分の罪を。
ただ彼らを苦しめるためだけに。
全て壊れてしまえと、叫ぶ代わりに。
いい子には読ませたくないほど、嫌悪感に満ちた小説だが、ひねくれた語り口にどこか小気味よさを感じる私は、もしかしたら、物語に出てくる少年少女たちのように、すでに何かが麻痺していて、歪んだ正義感に侵されているのかもしれないけれど。
この小説は嫌な感じだけれど、この人と飲みに行ったら盛り上がるだろうなと、感じたのもほんと。
5/9は告白の日。
秘めた想いを伝えてみるのもいいかもね。
あるいは、罪の告白を。
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