青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

E.L.カニズバーグ『クローディアの秘密』

家出した先は、ニューヨーク・メトロポリタン美術館!?
弟ジェイミーを巻き込んだ、クローディアの自分探しの旅は、いつしかミケランジェロの謎を解く冒険に!!

 

クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050))

クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050))

 

 

バイオリンケースとトランペットケースをもった女の子と男の子が、どうやったら見つからずに、16世紀に作られた天蓋付きの彫刻がごてごてのベットに毎晩眠ることができたのか。考えるだけでも、スリリングですよね。しかもこのふたり、美術館に家出中だというのに、ちゃんと歯磨きしたりお風呂に入ったりもしてるのですから、感心しちゃいます。夜は、やっぱりナイトミュージアムなのかしら!?

クローディアのペースに引き込まれちゃって、つい忘れちゃうのですが、この物語の始まりは、フランクワイヤーさんが弁護士に当てた、遺産に関する意味深な手紙。家出少女の物語がどこで資産家夫人とつながるのか、そこも読みどころ。

クローディアとフランクワイヤー夫人との、少女×元少女の会話が、この物語のキーワードになっている気がします。これがまた、なんだかオシャレなのよね~。
 

著者・カニズバーグ


あとがきによると、科学者でもあったカニズバーグは、一家でピクニックに出かけた時の子どもたちの様子から、この物語のヒントを得たそう。きっと、彼女の作品の一番の読者でもあり、批評家でもあった子どもたちに楽しんでもらえるようにと、お子さんたちを読者として意識しながら書かれたんじゃないかしら。

 

登場人物の生き生きとした会話や子どもの目線で語られる描写のおもしろさも、もちろん、この物語の魅力ではあるけれど、何よりも強く感じるのは、あたたかさと安心感。

思春期の女の子が家出をする不安定さを描きながらも、強く感じる、あたたかく見守られているという安心感は、母親の愛情そのものではないかしら。

わたしのお気に入り名言はこちらのふたつ

 

 計画を立てる5分間は、さがしまわる15分間に匹敵するのよ。(P208)


幸福というのは、わき立つ感情が心の中に落ちつき場所を見つけることですが、いつもそこには小さな片すみがのこって、落ちつかずにパタパタしているものです。(P222)

 

児童心理学者のように細やかに、子どもを知っている人だなぁと感じました。