青りんごの本棚

中学生・高校生におすすめの本をあつめています

マイケル・グルーバー『魔女の愛した子』

 

魔女の愛した子

魔女の愛した子

 

 


「おなかがすいているのね?
でも、魔女は赤ん坊に食べさせて「やったりしないものなのよ・・・・・・」

醜い赤ん坊はのどを鳴らして、女の手をおしやった。

そして飢えた黄色い目で、女の目をじっとのぞきこんだ。

一瞬、古い魔法がふたりのあいだでゆらめいた。

(本文より)

 

「昔、はるか遠い国の大きな森に、女がひとりで暮らしていた」と、物語ははじまる。

女は魔女で、人間の赤ん坊をひろって育てる。赤ん坊はこぶという意味のランプと名付けられる。母親が魔女であるがゆえに、自分の外見の醜さゆえに、ランプの心はひねくれてゆく。魔女との約束をやぶったランプに事件が起こり…。

醜さを隠すためにマスクを身につけたランプの表紙がミステリーチック。地味な木製のマスクと煌びやかな黄金のマスクはランプにおこる波乱の人生をあらわしているのか!?(まぁ、そうなんだけどさ)

 

気まぐれに子どもを育て始めた魔女が手にしたものは何だったのか?
歪んだ心を抱えたランプは孤独からぬけだすことができるのか?
ヘンゼルとグレーテル」とか「シンデレラ」といったおとぎばなしの場人物たちが出てくるのも読みどころ。名作の映画化にいつも反対している私だけれど、これは推進しちゃう。ディズニーさん、いかがでしょう。

 

著者はの経歴がこれまたおもしろい―間違いなく、彼のどんな著書よりも興味深いね。海洋生物学で博士号を取得し、犯罪訴訟に関する分析官などを経て、ワシントンで政府関係の草稿ライターを長くつとめる。

 

子ども向けのおはなしのようでいて、大人の心にも響く。人生普遍のテーマを織りこませることができるのは、才能豊かな著者ならではなのかも。