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青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

村田紗耶香『マウス』

自分のことを内気だという5年生の女の子・律(りつ)と、ちょっと変わった女の子・瀬里奈の友情物語。

 

クラス替えでは、自分と同じような大人しい友だちを見つけて自分の居場所を守る。新しいクラスには、声も出さずいつも宙をぼんやりとながめているような「浮いてる」子瀬里奈がいた。ちょっとしたことですぐに泣きだし、いつもどこかへ消える瀬里奈にクラスは腫れものを触るように離れている。ある日、律は泣きだして飛び出した瀬里奈の後を追って…。

 

ちょっと変わった女の子の友情物語。瀬里奈にいたっては、彼女自身が変わっていると通りこし「独特」でもあるのだけど。人ごみ大きな音を怖いと感じる彼女は、現実世界に堪えられなくなった時、自分で作り上げた「灰色の部屋」に閉じこもる。しかも、うす暗く音のないその世界をすごく素敵な場所と信じて疑わない。

そりゃそうだよな、自分で作った世界だからなぁ。

 

そのことがなんだか苛立たしい律は瀬里奈が灰色の世界に行かせないために、彼女の世界に鮮やかな色彩を流し込もうとする。律が図書室から選んだ『くるみ割り人形』の物語を嫌がる瀬里奈に無理やりに読み聞かせる。

 

『ギンイロノウタ』とはまた違う、濁った空気や少女の狂気はない。

共通しているのは、外の世界へとつながる自分の中にある扉。律も瀬里奈も自分は「こんな子だから」と自分で作った居心地のいい箱の中に閉じこもっているのだけれど、思いもよらず開けるきっかけをもたらしたのは、自分と同じ女の子。内側から開けられないその箱の扉の鍵は、「友だち」が持っているのかも。

 

すっごく心に響いて、泣けるいい作品でした。

「友だち」欲しいなぁって心底思った。

 

村田紗耶香さん探しにまた書店へ。

文庫本コーナーをぐるぐる回り、見つけた1冊だけを手に入れる。そのままカフェで読み始めて、気づくと太陽がもう低い。読み切ってしまった。知らない人たちの中でひとり目を潤ませてるわたし、イタイ。

外で村田紗耶香ちゃんを読んだりしちゃダメ。

 

おすすめポイント

 

◇中学生にもおすすめの村田紗耶香ちゃん

◇村田紗耶香が苦手な人も読める!

◇女の子におすすめ友情物語だよ

 

本をチェックする

 

マウス (講談社文庫)

マウス (講談社文庫)

 

 


扉をあける鍵をなくしても、あたしのを分けてあげるよ♪

というCharaさんの曲が流れた。レンアイを歌っているのだろうけれど、律と瀬里奈の物語のエンドロールにぴったりの1曲。

 

Special Thanx 

 

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