わたしはもらったものでできている~角田光代『Presents』
『Presents』角田光代
人にしてやったことは忘れても、人にしてもらったことは忘れるなと、田中角栄は言った。
これは余談。
本作とは全く関係ありません。
しかし、全く、というわけではない。
読了後、私の頭の中に飛び込んできたのは、いつか目にした田中角栄の(正確には彼の母が彼に遺した)この言葉なのだから。
新しいはじまりに「おめでとう」「がんばってね」と思いをのせた贈り物をいくつも受け取り、私はいまここにいる。
あたたかくて、強い。
長く生きた分だけ託されてきた思いに私は応えることができているだろうか。
託された思いはいつしか形を変え、時にもう消え去ってしまったとしても、いまの私は間違いなく、みんなからもらったものでできている。
12の贈り物の物語。
そろそろ桜がほころびはじめました。
庭にも花を植えたいところ。