青りんごの本棚

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彩藤アザミ 『サナキの森』

新潮ミステリー大賞は、新潮社が新たに立ち上げたミステリーの新人賞。選考委員は、人気ミステリー作家である伊坂幸太郎貴志祐介道尾秀介の御三方。その第1回新潮ミステリー大賞を受賞したのが、20代の若くてかわいい女性作家と言われたら、本を手に取る前から期待は高まる。

そのハードル以上におもしろかった。

 

 第1回新潮ミステリー大賞受賞の新本格ミステリー

 

荊庭紅(いばらばこう)は、二十七歳で現在ニート。祖父は、売れない怪奇小説家の在庭冷奴(あらばれいど)。その祖父が亡くなり遺品整理をしていた紅は、祖父の作品をおさめた本棚の中に「サナキの森」という本を見つける。戦前のものらしい旧字体で書かれたその本の中には、祖父から紅にあてた手紙がはさまれていた。遠野村へ行ってあるものを探してきてほしいという・・・。

 

ライトノベル本格ミステリーの融合

 

 

戦前に書かれたという祖父の怪奇小説「サナギの森」と、現代での紅たちの謎解きが交互に語られながらページがすすむ。旧字体で書かれた重々しくも艶めかしい文体とイマドキの女の子の語るライトノベルのような軽やかな謎解きストーリーのくりかえしが、全体にリズムを作っていて、読みやすい。

岩手県遠野市は、柳田国男の『遠野物語』で知られる不思議な伝説の残る土地である。祖父である在庭冷奴の「サナキの森」は、遠野の奥にある佐代村(物語に登場する架空の村)で行われた「冥婚」の風習にまつわる怪奇的な物語を描く。冥婚とは、死者に行う婚姻のこと。この「サナキの森」の完成度が高くて、これだけを物語として読んでもおもしろい。江戸川乱歩作品みたい、と思ったら、著者は中学生のころから江戸川乱歩横溝正史を愛読しているそう。

どうりで。
よく磨かれた良質のミステリーです。

現在は、服飾デザインの専門学校に通っているみたいですが、新作も楽しみな新人作家さんです。

 

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サナキの森

サナキの森