青りんごの本棚

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佐野洋子 『シズコさん』

 『100万回死んだねこ』の絵本の作者としても知られる佐野洋子さん。60歳を過ぎておばあちゃんになった洋子さんと母・シズコさんとの「これまで」と「いま」を語るエッセイ。

 

 

洋子さんとお母さんはこれまだって、特別に仲が良くも悪くもない。

でも洋子さんにとっては、母との関係は「いい母子」ではなかった。娘だからこその目線や感情がある。

自分で思っているほど、娘にとっていい母ではないことは、残念だけどよくあること。

自分自身も、母の娘であり、娘の母だからよくわかる。

母と娘の関係は、いつも少し悩ましいのだ。

 

洋子さんはエッセイの中でこう語る。

 

母さんが私の母さんではなく他人だったら、「生んでくれと頼んだ覚えはない」などとばちあたりの事を誰が云うだろう。
肉親は知らなくてもいい事を知ってしまう集団なのだ。
家族だからこそ互いに良くも悪くも深いくさびを打ってしまうのだろう。

 

親は親ってだけで、子どもにとっては魅力なのだ。

それは親にとって子供が特別である以上に。


先日読んだばかりの『チャーシューの月 (Green Books)』でこんなセリフが出てきた。

 

お母さんを嫌いな子どもなんていないのよ。
子どもを好きになれないお母さんはいても。

 

良くも悪くも、家族だから無条件で好きになって欲しいものなのよね。

 

ちぐはぐしていた洋子さんとシズコさんの関係だが、シズコさんが老いを重ねていくことで少しずつ変わり始める。

「許す」側が変わるというのかな。

いつか自分が年をとり娘のことを娘だとわからなくなる時がきても、

自分は愛されているだろうか、と考えて少し切ない。

 

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シズコさん (新潮文庫)

シズコさん (新潮文庫)

 

 

 

100万回生きたねこを愛する作家たちによる『100万分の一回のねこ』 - 青りんごの本棚