青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

戦争をくぐりぬけたおさるのジョージ

これは、たのしいおさるのジョージの物語ではなくて、戦争によってもしかしたら「おさるのジョージ」は生まれてこなかったかもしれない、という本当にあった出来事を描いた絵本。

 

私も子どもたちもおさるのジョージが大好き。あの素直さ、やんちゃさ、愛くるしさ、きっとみなさんも思ったことがあるはず

 

「これってウチの息子そのまんまじゃないか~」

 

えぇ、えぇ、わかりますとも。

世界中の息子のそっくりさん、ジョージ。

ジョージを見ていると、息子のやんちゃぶりも許せそうになるから不思議。(実際にはそんなに甘いことばかりじゃなく、そろそろ穏やかに暮らしたいわたし)

 

「ひとまねこざるときいろいぼうし」が出版されたのは、1941年。実に、今から70年も前のこと。長い間、世界中で愛されてきたこのおさるのもたらすシンプルな笑いと愛らしさは、いつの時代も子どもたち(だけではなくて大人も)の心をとらえている。

 

おさるのジョージ しょうぼうしゃにのる

 


「戦火をくぐりぬけたおさるのジョージ―作者レイ夫妻の長い旅」は、ユダヤ人だった。

レイ夫妻が、1940年当時、当時暮らしていたパリから、ナチスの侵害を逃れてアメリカに渡り、そして最初のジョージの絵本「ひとまねこざるときいろいぼうし」が出版されるまでを追ったルポのような絵本。

とはいえ、詳細に記録されたものは残されておらず、このことに興味を持った著者ルイーズ・ボーデンが、レイ夫妻が残した、手紙やノートや手帳、写真を細かく調べ、実際にパリの街を歩き、ふたりの足跡をたどって描き上げました。

 

写真やイラストのほかに、直筆の手帳やチケットのコピーをコラージュのようにちりばめた、レイ夫妻のアルバムをのぞき見たようなウキウキがある。

実際、ふたりが自転車で駆け回るシーンは、楽しそうだもの。

しかし、事態は緊迫した戦争中。

追手を逃れて逃げる日々には、逃げるときの怖さや厳しさ、ここには描かなかったいろんな思いがあったはずで、だからこの本は、少しだけ大人になった子どもたちの手にこそ渡してあげたい。

 

 「それに何より、ふたりいっしょでした。」 の一文がこの絵本を一番語っている。

映画「ライフイズビューティフル」のように、どんな苦難も笑顔で切り抜けようとする姿に心打たれる。周りの人たちを、子どもたちを笑顔にしたい使命感をもって、ジョージが生まれてきたことが伝わる。

イラストや写真を交えながら、文字数もページ数もそこそこあり、じっくり読めるタイプの絵本。

 

おすすめポイント

 

◇戦争をテーマにした本

ユダヤ人について知る本

◇絵本作家の伝記小説

 

戦争をくぐりぬけたおさるのジョージ―作者レイ夫妻の長い旅 (大型絵本)

戦争をくぐりぬけたおさるのジョージ―作者レイ夫妻の長い旅 (大型絵本)