青りんごの本棚

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山白朝子『死者のための音楽』

 『夏と花火と私の死体』を読了後、余韻が残る八月。

『優子』のぞわっと感をまた味わいたくて、手をのばしたのは山白朝子。

 

*もくじ*

怪談文芸誌『幽』に掲載された6作品に、「死者のための音楽」を書き下ろし収録した7編の短編集。
長い旅のはじまり
井戸を下りる
黄金工場
未完の像
鬼物語
鳥とファフローキッズ現象について
死者のための音楽

 

幻想的で艶めかしい怪談の世界

 

引きずられそうな女の子の表紙が怖くて、これまで遠巻きにしていたのだけれど、ぞくりを味わいたい好奇心を追い払うことはできず。ただやっぱり、あの子の目をみたら吸い込まれるにちがいないので、わたしはシンプルな表紙の角川文庫を選ぶ。

 

ホラーとは違う、怪談のもつ幻想的で艶めかしく湿った感じがわたしにしっくりとくる。いや、しっとりと、か。ねっとり…ではない。奇妙な世界ではあるけれど、後味は悪くない。もう少しこの世界につかまれていようかなと、まんまと誘惑に乗ってしまったような。

「鳥とファフローキッズ現象について」「死者のための音楽」がよかった。 

 

私はこの短編集を海へのキャンプに連れて行った。
闇に飛びあがる火の粉を感じながら、あるいは夜、やけに大きく響く波の音を聞きながら読むのにぴったりでした。どこかなつかしく、ぞわりとさせられる切ない余韻をのこす物語。

 

 

 

 (BOOKデータベースより)
教えたこともない経を唱え、行ったこともない土地を語る息子。古い井戸の底に住む謎の美女。すべてを黄金に変える廃液をたれ流す工場。身元不明の少女に弟子入りされた仏師。山に住む鬼におびえて暮らす人々。父を亡くした少女と、人が頭に思い浮かべた物を持ってくる奇妙な巨鳥。生まれつき耳の悪い母が魅せられた、死の間際に聞こえる美しい音楽。親と子の絆を描いた、懐かしくも幽幻な山白朝子の怪談7篇。

 

 

おすすめポイント

◇少しぞわっとする短編集

◇怪談文芸誌『幽』掲載

◇山白朝子は「乙一」さんの別ペンネーム

 

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死者のための音楽 (角川文庫)

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