青りんごの本棚

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夏目漱石 『坊っちゃん』


夏目漱石は、明治を代表する近代文学作家。名前を知らない日本人はいないでしょうが、漢字で書けと言われるとあやふやな人はたくさんいるよね。

 

漱石の作品を初期・中期・晩年と大きく分けると、こんな感じ。

初期作品…『吾輩は猫である』『坊ちゃん』『草枕
中記作品…『虞美人草』『夢十夜』『三四郎』『それから』
晩年作品…『こころ』『道草』『明暗』

 

『坊ちゃん』などの初期作品は、晩年の有名な作品に比べて、身近でおもしろく、読みやすい作品が多い。はじめて漱石を読むなら初期作品がおすすめ。中でも『坊ちゃん』は何度かドラマ化もされているほどの有名作品だし、やっぱり読みやすい。

 

坊っちゃん (小学館文庫)

坊っちゃん (小学館文庫)

 


「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりして居る。」の一文で、物語ははじまる。
自称、生粋の江戸っ子の坊ちゃんが、四国の学校に新任教師として赴任する。そこで、生徒や周りの先生たちとのドタバタを通して、坊ちゃんも成長していく、なんていう物語。

この坊ちゃん、単純で素直で直結型で、これがさっぱりとして小気味よくもあれば、負けず嫌いでこだわり強い頑固さは、自己中心的に見えなくもない。

 

この坊ちゃん、周りの教師たちにあだ名をつける。狸、赤シャツ、山嵐、うらなり、などなど・・・とても本人を前にしては言えまいという失礼なあだ名ばかり(いやぁ、おれは本人の前だって構いやしない、と坊ちゃんまた熱くなりそうですが)。そして、小説のネタの多くは、彼らとの日常のいざこざ…。

 

野田は大嫌いだ。こんな奴は沢庵石をつけて海の底へ沈めちまう方が日本の為だ。赤シャツは声が気に食わない。あれは持前の声をわざと気取ってあんな優しい様に見せているんだろう。いくら気取ったって、あの面じゃ駄目だ。惚れるものがあったってマドンナ位なものだ。

 

こんな調子の『坊ちゃん』。

どうにも、これって、職場での解消しきれない日常の愚痴をブログでつぶやいてます、でもって、それをのぞいてます、という感覚に近い。「まぁまぁそこは押さえて、坊ちゃん」などと、ちょっと励ましてやりたくなったりする。単純に、おもしろい。

 

ちなみに、坊ちゃんをオマージュしている作品は多い。

夏休みにプール掃除をすることになったあの少年たちの物語の書き出しなんて『坊ちゃん』そのままだし、あの辞書を描いた本屋大賞の小説の中にも「赤シャツ」が登場したりする。他にもあるよ。超有名人の文豪作品には、こういう出会いもあるから、またおもしろい。