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青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

冲方丁『天地明察』

 渋川春海(安井算哲)が、日本独自の暦を作るというストーリー。舞台は江戸時代ですが、なんと、歴史小説に欠かせない剣で戦うシーンがない!!

 

これだけ聞くと、何が面白いのか?と思われるでしょうが、それが、読んでみると面白い。剣をふりかざして戦う人たちに比べたら地味かもしれませんが、日本を変える大きなプロジェクトに挑む一人の男の物語です。 

当時、使われていた「宣明歴」に誤差があることを見つけるのだが、それは朝廷に対して間違いを突きつけるのと同じ。朝廷に挑み、時に間違いをし、時につまづきながらも、ひたすらに真理を追究していく姿には心を打たれます。すべてをかけて何かに打ち込む姿勢、壁にぶつかるということ、そして、それを支えてくれる人の存在、気づかされることがたくさんあります。

「明察」って響きがいいですね。「正解」よりもあったかい気がします。
原作はすごく面白いですが、文字も小さめページ数も多いので、読み終えるまでじっくり時間がかかりました。

 

帯に大きく「歴史小説」の文字を見つけ、まず頭に浮かんだのが、昨今のブームになっている歴女たちの姿。歴史上の武将たちに恋する乙女というイメージが強いですが、中にはそこから発展し歴史の中の真実に目を向け、日本人としてどう生きるべきかを論じ合っている人たちもいます。その歴史へ愛情パワーには感服です。なんてことを頭に浮かべつつも、読み始めた。

この本を手にするとそんなことを思い出す。

 

 

 おすすめポイント

◇第31回(2010年) 吉川英治文学新人賞受賞
◇第7回(2010年) 本屋大賞受賞

歴史小説

◇入試国語問題出典作品
2011年度高校入試出典作品(東京・国立)

 

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天地明察

天地明察