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青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

皆川博子『倒立する塔の殺人』

往年のファンも多い女性ミステリー作家・皆川博子さんの10代向けのミステリーあります。

 

時代背景は戦前・戦後。戦争を経験した多くの作家さんの描写とも全く違い、残忍なシーンや反戦を訴えるような記述はありません。それでも、それでも戦争時代を生きてきた人のリアルが感じられ、こういう時代は嫌だなぁと素直に思えます。

 

少女というものが持つ、繊細さやミステリアスさが匂い立つ作品。頭に浮かんだのは、同じ匂いをもついくつかの作品たち。女子が描く少女の世界、扱われる出来事はどこか別の物語ではあるけれど、少女たちの中にある猜疑心や嫉妬心といったもののリアルさにはっと胸をつかまれることがある。

 

(BOOKデータベースより)
戦時中のミッションスクール。図書館の本の中にまぎれて、ひっそり置かれた美しいノート。蔓薔薇模様の囲みの中には、タイトルだけが記されている。『倒立する塔の殺人』。少女たちの間では、小説の回し書きが流行していた。ノートに出会った者は続きを書き継ぐ。手から手へと、物語はめぐり、想いもめぐる。やがてひとりの少女の不思議な死をきっかけに、物語は驚くべき結末を迎える…。物語が物語を生み、秘められた思惑が絡み合う。万華鏡のように美しい幻想的な物。

 

著者・皆川博子

著者は1930年生まれ(女性の年齢を公表するのは憚られますが、御歳82歳)

このシリーズ「ミステリーYA」の対象読者である10代にとってはおばあちゃんよりもさらにおばあちゃんの年代。(私の祖母よりもご高齢だし)しかしながら、年齢差は全く感じられません。プロフィールを読まなければ若い作家かと思わされる乙女的瑞々しい感性と表現力。

 

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倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)

倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)