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青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

島崎藤村『破戒』

死ぬ前に読んでおきたい名作の中に、読む時期が早すぎても遅すぎてもダメな「読むべき時」がある、という作品がある。

島崎藤村の『破壊』もそんな作品のひとつ。

 

 

本作品が書かれたのは、1906年(明治39年)。社会的な差別に苦しむ青年の苦悩とその心のうちをあざやかに描いた本作品は、自費出版という形で世に送り出された。

同年に出版された作品には、伊藤左千夫『野菊の墓』、夏目漱石坊っちゃん』などがある。

 

付箋を入れた文章のいくつか。

 

 (P22)同じ人間であり乍ら、自分等ばかり其様に軽蔑される道理がない、

(P81)賤民だから取るに足らん。斯ういういう無法な言草は、唯考えて見たばかりでも、腹立たしい。あゝ、種族の相違というわだかまりの前には、いかなる熱い涙も、いかなる至情の言葉も、いかなる鉄槌のような猛烈な思想も、それを動かす力はないのであろう。多くの善良な新平民は斯うして世に知られずに葬り去らるゝのである。

 

公然と語ることを憚られる繊細な部分を描く。

私が読んだのは、「日本の文学」シリーズ第13・14巻で、初刊と同じ文章のもの。

その後に再刊行された際には、差別的表現が書きかえられたものもあります。

時期が来たと思ったら、手に取ってみてほしい作品です。

 

余談ですけど、「奈何する?」って表現が癖になる。

 

 

 

破戒 (新潮文庫)

破戒 (新潮文庫)