青りんごの本棚

中学生・高校生におすすめの本をあつめています

辻村深月『ツナグ』

使者(ツナグ)。

一度だけ、死者との再会を叶えてくれるのだという。
生者にとっても死者にとっても、たった一度だけ。
満月の夜に導かれた4つの再会の物語。

 

突然死したアイドル・水城サヲリに会いたい平瀬愛美。
ガンで亡くなった母親に土地の権利書のありかを聞きたいという靖彦。
親友の御園を死なせたのは自分ではないのかと苦しむ女子高生の嵐。
7年前に行方不明となった婚約者を待ち続けている土谷さん。

死者に会うことで、後悔は消えるのか…。
読みやすいストーリーに、あたたかい気持ちになれる作品です。

 

おすすめポイント 

◇第32回(2011年)吉川英治文学新人賞受賞

◇あたたかくなる物語

 辻村さんだけどミステリーじゃない。ほっこり系辻村。

◇映画化

ツナグ(本編1枚+特典ディスクDVD1枚)

ツナグ(本編1枚+特典ディスクDVD1枚)

 

 

わたしの感想

5つめの物語「使者の心得」は、「使者(ツナグ)」である歩美の物語なのだけれど、これが一番おもしろかったなぁ。最後に歩美の物語を知ることで、これまでの4つの再会を二度味わえるしくみになっています。いろんな方のレビューで「泣ける」と絶賛でしたが、残念ながら私はそこまでの感動は味わえなかったなぁ。
映画の方がぐっときそう。映画にも期待です。

どの物語も、生前に後悔を残しているわけではない。
愛美はいちファンなのだからサヲリに会えるわけなどなかったのだし、土谷さんはキラリに指輪つきでプロポーズもきちんとできている。靖彦はガンを告知しなかったことを心残りにしているが、つまづくほどの後悔ではない。

それでも、人は死者に会いたくてたまらなくなるんだね。
大切な人の死は、かならず心に穴をあける。
それはほかのものでは埋められなくて、さみしくてからっぽになって、なんとかその穴をうめたいと思う。

「自分ならば、誰と会うことを願うか。」
本の帯にも書かれているが、解説の本田孝好もこう語る。
その思いでこの本を読む人は多いのだろうけれど、私にはその思いは浮かばなかった。

心にぽっかりあいた穴を「死者との一夜の再会」でうめられるとは私は思わない。
生きているうちにしか、できないことがある。
だからこそ、生きていることがこんなにも愛おしいのだと思う。
あなたとわたしが生きているうちに、つないでおきたいことがある。
この本を読んで感じたのは、そんなこと。

穴はいつまでものこり、その穴とともに生きていくだけの強さを私たちは持っている。
そういうことが私にとっての希望だったりする。
それでも、こんなファンタジックな希望の物語もあってもいいじゃないか。

 

ツナグ (新潮文庫)

ツナグ (新潮文庫)

 

 

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