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青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

チャイルド・プア~社会を蝕む子どもの貧困

チャイルド・プアという言葉を知っていますか。いま、日本の子どもの6人にひとりが貧困と言われています。

 

 

近年、チャイルド・プアという言葉を耳にする機会が増えた。

貧困児童を表すこの言葉は、この本の著者・新井直之さんによる造語である。新井直之さんは、NHKの番組ディレクター。この本は、2012年10月19日に放送され、反響を呼んだ、NHK総合特報首都圏「チャイルド・プア~急増 苦しむ子どもたち~」を書籍化したもの。

 

あなたは、自分が貧困だと思いますか。

例えば…

あなたはいま欲しい洋服を買うことができますか。

あなたはいま一日三食、ごはんが食べられますか。

 

本著によると、いま日本の子どもの貧困率は15.7%。子どもの6人にひとりが貧困状態にある。例えば、36人学級の中に貧困状態にある子どもが6人もいることになる。経済的な理由で就学援助を受ける小中学生は156万人。決して楽観視できる数ではない。

 

家庭で経済的に不利を背負う子どもたちは、学力不足や低学歴によって大人になってからも安定した職業に就けず、貧困から抜け出せないことも多い。こうした貧困の連鎖が、今の日本で驚くべき速度で進んでいる。

 

もちろん学歴はすべてではないが、経済的安定のためのひとつの大きな武器になることは間違いない。桜井信一さんの『下剋上受験』は、中卒の両親が娘に学歴を与えたいと難関中学の受験に奮闘するノンフィクション。著者自身が中卒という立場から、日本の社会で学歴がいかに重視されるかを肌で感じた経験が動機のひとつになっている。それが正しいかどうかではなく、日本の現状はそうである、ということは言える。

 

多重債務から逃れるために、車上生活を余儀なくされた少年。母親を亡くし引きこもりとなった少女。親に追い出されホームレスとなった少年。

こうした子どもたちの貧困の実態を調査し、現在行われている対策や取り組みを取材したのが本著。

 

現状では、貧困から抜け出すために学歴を身に付けたいが、それが叶わない子どもも少なくない。そうした子どもたちのために勉強を教えるNPO法人ユースサポートの取り組みや、学校でできる取り組みの限界など、興味深い内容だった。

 

森絵都さんの『みかづき』は、戦後の日本の教育を親子三代の目線から描いた長編小説。2017本屋大賞ノミネート作品でもある。三代目にあたる一郎の目線で描かれているのが、こうした経済格差から生まれる教育格差の問題で、NPO法人ユースサポートの取り組みは、まさに一郎が目指していたモデルケースじゃないかしら。

 

友だちの顔を思い浮かべる。みんな好きなことにお金を使っている。大丈夫だ、と思う。

教室の真ん中に座る。36人学級なら自分の席をぐるりと取り囲むその中に、自分の力ではどうしようもない問題を抱えている人がいるかもしれない。

 

チャイルド・プア?社会を蝕む子どもの貧困?

チャイルド・プア?社会を蝕む子どもの貧困?

 

 

 

 おすすめポイント

◇社会を知るノンフィクション

◇政治家になりたい人は読みましょう

◇続編もあります 

チャイルド・プア2 貧困の連鎖から逃れられない子どもたち

 

 

 

 

関連サイト

大人が「子どもの貧困」を隠してきた / 『チャイルド・プア』著者・新井直之氏インタビュー | SYNODOS -シノドス-