青りんごの本棚

~本とごはんとコーヒーと。10代の読書案内~

松本こうじ『ウサギとカメとボク 現代版むかしばなし』

怪しげな夢子さんのイラストに「現代版むかしばなし」というサブタイトル、ひと目で惹かれてしまいました。グロかったらどうしよう~、とドキドキしつつちょっとずつページをめくる…。

 私の期待をよそに(?)、胸くそ悪くなるようなシーンは全くありません。ご安心を。健全な物語集です(笑)

 

*もくじ*

本作の中で料理されちゃってるむかしばなしたちはこちら。

・ウサギとカメと少年 (うさぎとかめ)
・カメに恩返し (うらしまたろう)
・ネズミが猫にプロポーズ (ねずみのよめいり)
・本物の鬼とおにごっこ (ももたろう)
・現代版 ツルの恩返し (つるのおんがえし)
・世渡り上手なウサギが海を渡る (いなばのしろうさぎ、かちかちやま)

 

現代版むかしばなし

 

一話ごとにさっぱりあっさりと話は完結します。だれもが知っているむかしばなしをモチーフに現代の若者や社会をぴりっと風刺した作風は、つい苦笑してしまう、といった感じ。

著者の松本こうじさん、イラストレーターの夢子さん、どちらも初耳の方。特に著者は、現代を風刺するスタイルからイマドキのお若い方かな、なんて思ったら、1959年(昭和34)年生まれ。私の母と同世代!?ってことにまずオドロキ。会社勤務のかたわら短編のパロディやエッセイを執筆し、本作品が処女作だそうです。

夢子さんは、生年月日は不明ですが(女性に年齢をそうやすやすと聞いてはいけません)、「謎解きはディナーのあとで」の中村祐介さん同様、ジャケ買い力のあるイラストレーターさんになりそう。来年は、出版界からもさらに声がかかるんじゃないかしら。

 

主人公は亀井一少年。「ウサギとカメと少年」では、カメをいじめちゃってたりして、「なんだかなぁ~」なのですが、亀井少年が、ちょっと不思議な現代のむかしばなし的体験を通して、少しずつ成長していくさまが、なかなか面白かったです。

リアル系かと匂わせての、ファンタジー系。まぁ、よく考えたらむかしばなしってそうだから。


気に入ったのは、「ネズミが猫にプロポーズ」と最後の「世渡り上手なウサギが海を渡る」。ラストはむかしばなしっぽく、ちょっとほんわかな気持ちで終われるってのがいいね。

 

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ウサギとカメとボク 現代版むかしばなし (角川フォレスタ)

ウサギとカメとボク 現代版むかしばなし (角川フォレスタ)