夏休み『蛍川・泥の河』
今週のお題「リラックス」
朝活で外活。
美しく整備された芝生と小さな川のほとりにて。
2017-25冊目。
宮本輝『螢川・泥の河』
芥川賞とは、純文学の新人に贈られる賞。
純文学の定義はそもそも曖昧で、
受賞作には実験的な作品も多く、
同時に発表される直木賞と比べて、
難解と感じる人も多いのでは。
そんな中にあって、
中学生にも読みやすい、むしろ中学生が読むべき芥川賞作品がこちら。
宮本輝さんは「泥の河」で太宰治賞受賞、
「螢川」で第78回芥川賞を受賞。
舞台は昭和三十年。
橋の下につながれた屋形船で暮らす少年の一家。
戦争で夫を亡くし、女手ひとつで子どもたちを育てる母。
復興が進み近代化していく街と、戦後の影を引きずり生活を続ける人々。
まるで泥の川にとらえられたような不安と、流れに添うようにしか生きられない人々の哀しみとを描く(泥の河)
深く底のない哀しみを濁らせ流れる泥の河。
とどまることなく続く命の営みを光り輝かせる螢川。
ただ流れるだけなのだろう。
あのころ川があった、いつも。
と懐かしい風景に思いをめぐらす。
映画「共喰い」を観た後に心に残ったのは、
自分の中にも確かにあった川の景色とその存在だった。
いま、私たちの景色の中に川はあるだろうか。
泥臭く汚れて濁り、あるいは清らかに、再生をくりかえし。
とどまるなと、押し出すように呼びかけて流れている。
いまも、そこに川はあるだろうか。
それとも…
川の景色は過去のものとなってしまったのだろうか。
蓋をして、深く暗い足元をいまも流れているのだろうか。
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乱文をいつも読んでくれてありがとう。